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2023 年度 実施状況報告書

室町期荘園制下における武家領主の歴史的位置

研究課題

研究課題/領域番号 21K00841
研究機関同志社大学

研究代表者

山田 徹  同志社大学, 文学部, 准教授 (50612024)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード荘園制 / 丹後国惣田数帳
研究実績の概要

2023年度は、荘園・武家領主に関連する史料や文献を幅広く収集する基礎作業を引き続き実施するとともに、いくつかの国において具体的な検討を進め、大きな進展を果たした。なかでも、下記のように「丹後国惣田数帳」に関する研究を進展できたのは大きい。
①「室町期丹後国荘郷・領主研究序説 ─「丹後国惣田数帳」の基礎的考察─」(『令和4年度京都府域の文化資源に関する共同研究会報告書(丹後編)』、2023年)では、「丹後国惣田数帳」にみえる領主名(寺院名・武士名)について詳細な考証をおこなったほか、特に「御料所」を足利将軍家御料所とする説を提示した。また、そうした個別考証を踏まえて公田数の再集計をおこない、丹後国で在京領主の所領の占める比率が伊藤俊一氏が見積もったよりも高い(国内公田の75~80%)ことを示せた。
②「室町期丹後国における荘郷と領主」(『人文学』213号、2024年)では、①を踏まえて、丹後国の領主分布の特質を究明した。とくに重要なのは、国内公田の75~80%が在京領主の所領で、国人の所領は10%程度に過ぎない(国人は大規模でも10~20数町程度)という状況が形成されるのは、大規模な所領が在京領主に掌握された結果であることを論じた点である。これは、いわゆる「室町期荘園制」論で提起された社会像がどれほど一般化可能なのかを考える際に鍵となる重要な論点である。
③なお、「室町時代の丹後国」(『京都を学ぶ【丹後編】』、2024年)は①②を要約するかたちで一般向けに記したものである。
以上のような諸研究で、「丹後国惣田数帳」を分析して丹後国全体を鳥瞰的にとらえることを達成できたのではないかと考えている。
このほか、学会発表「室町幕府と九州国人」も本研究関連で蓄積した情報・検討成果を前提とするものであり、今後の原稿化を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上記の通り2023年度は、荘園・武家領主に関連する史料や文献を幅広く収集する基礎作業を引き続き実施したうえで、丹後国について一国単位での鳥瞰的視点獲得・総合的把握を進めることができた。また、国をまたぐ検討についても進展があった。ただ、初年度・2年目のコロナ禍の影響で、現地への調査出張に行けていない地域もあり、当初予定として考えていた点について、不十分な部分も残っているため、上記のように判断した。

今後の研究の推進方策

2024年度は、最終年度にあたる。丹後以外の諸国についても具体的な検討を進めるとともに、目標に掲げていた、国をまたぐ広域レベルでの検討を進め、順次成果の公表をおこなっていきたい。また、本来予定していた現地への調査出張には、可能な限り行けるようにしたいと考えている。ほか、不測の事態については、研究計画をみなおすなどして柔軟に対応できるようにしたい。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じたのは、21年度・22年度のコロナ禍によって、現地への調査出張の回数が想定よりも少なくなったためである。本来予定していた現地への調査出張など、本研究計画の趣旨に沿った執行を予定している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 「室町期丹後国における荘郷と領主」2024

    • 著者名/発表者名
      山田徹
    • 雑誌名

      『人文学』

      巻: 213 ページ: 146-101

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 室町幕府と九州国人2023

    • 著者名/発表者名
      山田徹
    • 学会等名
      七隈史学会第25回大会
  • [図書] 『京都を学ぶ ─文化資源を発掘する─【丹後編】』2024

    • 著者名/発表者名
      京都学研究会編、高野陽子・高橋克壽・金田章裕・山田徹・森下衛・松浦智博・町田香・東幸代・河原典史・上杉和央・若林正博・青江智洋
    • 総ページ数
      202
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      978-4-7795-1789-1
  • [図書] 『令和4年度 京都府域の文化資源に関する共同研究会報告書(丹後編)』2023

    • 著者名/発表者名
      京都府立京都学・歴彩館京都学推進課編、高野陽子・高橋克壽・菱田哲郎・山田徹・河原典史・松田香・松浦智博・吉岡直人・林奈緒子
    • 総ページ数
      212
    • 出版者
      京都府立京都学・歴彩館

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公開日: 2024-12-25  

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