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2021 年度 実施状況報告書

戦間期内務官僚による「官民一体」政策の形成過程―田澤義鋪の思想と活動を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 21K00843
研究機関神戸女学院大学

研究代表者

河島 真  神戸女学院大学, 文学部, 教授 (00314451)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード田澤義鋪 / 青年団 / 政治教育
研究実績の概要

新政社を設立した田澤義鋪が発行した雑誌『大成』の1926年1月号から1927年3月号までの計15冊を入手し、撮影と記事のデータベースの作成を行って分析を進めた。
『大成』はもともと、山下信義が主宰する修養団体・大成協会が発行していた修養雑誌を田澤(新政社)が引き取ったと言われている(下村湖人『この人を見よ』1966年)ものの、詳しい事情はよくわかっていなかった。今回の調査により、①「復活号」発刊の1年前に、山下が発行していた『大成』を『新政』に「合併」していたこと、②修養を重んじる山下の主張を中心に編集されることになった復刊後の『大成』において、田澤は公民教育と中堅青年養成、特に後者に力点を置いて取り組み始めたこと、③これに対して既刊の『新政』(1924年1月発刊)は、「徹頭徹尾政治教育一本槍」であり、時事問題を取り上げて国民の政治意識を高めようとするものであったこと、などが理解できた。
以上のことから、青年団の指導に始まり選挙粛正運動に収斂していく田澤の在野での活動は、青年団の指導→政治(教育)運動(『新政』の発刊、衆議院議員選挙への立候補)→(青年団運動と並行する)中堅青年養成(『大成』の復刊、大日本連合青年団の指導)→選挙粛正運動という、さらに複雑な軌跡をたどっていったといえる。また、これまでまったく意識していなかったが、『大成』には「若槻首相立志談」(1926年3月号)、「加藤高明伯詳伝」(1927年1月号)、「意志の人加藤高明の一生」(1927年2月号)といった記事が掲載されるなど、憲政会との関わりも見えてきた。他方で、少なくとも『大成』に関する限り、おそらく山下の主張に即して編集されていたためであろうが、内務官僚ネットワークは見えてこなかった。
このほか、後藤文夫、丸山鶴吉に関する文献・関係史料の収集と分析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の影響により、日本青年館(『新政』『大成』の調査)、佐賀県立博物館(「田澤義鋪日記」の調査)など、学外での調査が予定通り実施できなかった。

今後の研究の推進方策

研究2年目に当たる2022年度は、日本青年館における『新政』『大成』の調査、佐賀県立博物館における「田澤義鋪日記」の調査を行い、『新政』『大成』についてはデータベースの作成と分析を進めるとともに、田澤研究者でもある鹿島市民図書館・高橋研一氏の協力も得ながら「田澤義鋪日記」の翻刻を進める。
後藤文夫と丸山鶴吉については、引き続き関係文献・史料の収集と分析を行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響で、学外調査が実施できなかったことにより、旅費と謝金の執行金額に余剰が生じた。
2022年度には、新型コロナウイルス感染症の再拡大など特別な事情が生じない限り、①前年度に実施できなかった学外調査をまず夏期に集中的に行い、②さらに本来2022年度に予定していた学外調査を夏期と春期に分けて実施することにより、前年度分の剰余分と次年度分の経費を計画的に執行する予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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