(1)2023年度は本研究の最終年度であるため、研究のまとめの作業を行った。2021年度に刊行した加藤圭木監修、一橋大学社会学部加藤圭木ゼミナール編『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』(大月書店)が持つ意義について『女性・戦争・人権』(第22号、2024年)に論考を寄稿した他、日本学術会議公開シンポジウム「歴史学が開く未来」で同書の実践に関する報告を行った。さらに、韓国の翰林大学日本学研究所より招請を受けて、同書に関する報告を行った。 (2)『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』の続編として、加藤圭木監修、朝倉希実加ほか編『ひろがる「日韓」のモヤモヤとわたしたち』(大月書店、2023年)、ならびに新たな歴史入門書である加藤圭木監修『大学生が推す 深掘りソウルガイド』(大月書店、2024年)を刊行することができた。以上の2冊に関して、市民向けのシンポジウムをオンラインで2度にわたって開催することができた(2023年12月、2024年3月)。さらに『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』の朝鮮語版として、韓国において『わたしたちが知らないことは悲しみになります』(ハッピーブックストゥーユー、2024年)を刊行することができた。 (3)植民地期朝鮮の地域社会史研究の一貫として1930年代の朝鮮の漁村を中心に明らかにする作業を進めた(2024年度に論文として刊行予定)。 (4)植民地期朝鮮に関する資史料の収集を進めることができた。 【研究期間全体】『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』をはじめとする入門書籍を計3冊刊行するとともに、関連するシンポジウムをたびたび開催し、これに関する論考も多数執筆することができた。また、植民地期朝鮮の地域社会史としては加藤圭木『紙に描いた「日の丸」 足下から見る朝鮮支配』(岩波書店、2021年)に結実させることができた。
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