本研究では、戦国大名として知られる出雲国尼子氏の興亡を、大きな転換期を迎えた16世紀の日本列島諸地域の動向のなかに位置づけなおし、尼子氏の急激な盛衰の背景や要因、ならびに尼子氏が時代の転換に果たした役割や意味を明らかにすることをめざした。そのため、あらためて尼子氏関係史料を博捜し、未確認であった史料の調査を行い、『出雲尼子史料集』(島根県広瀬町、2003年)に収載できなかった史料を約200点確認し翻刻した。それらの史料も活用しながら、日本海や出雲国の内水面を基盤に活動した諸勢力、周防国大内氏、安芸国毛利氏、畿内諸勢力と、尼子氏との関係性についての検討を進展させた。
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