研究課題/領域番号 |
21K00852
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
奈良 勝司 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (90535874)
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研究分担者 |
山崎 有恒 立命館大学, 文学部, 教授 (00262056)
三村 昌司 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (40525929)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 公議 / 加賀藩 / 聞番 / 静岡県 / 多数決 / 衆議院 / 政務調査会 / 京都留守居 |
研究実績の概要 |
2022年度までと同様、複数回にわたって研究会を開き、幕末から明治維新を経た近代日本にかけて、政治的(および社会的)意志決定に関する認識や制度のあり方が折々の政治や社会状況の影響下で変容し、新たな試みが実践されていった軌跡を検討した。 その際、単に近世の合議や寄合形態が西洋との出会いを経て(西洋)近代的な民主主義(議会政治)へと発展していったという筋道や、その達成度合いが十分か不十分かという側面のみに視角を限定せずに、近世社会下で独自の成熟を遂げていた政治文化が幕末維新期の混乱のなかでいかなる問題に直面し、日本型の近代社会が形成されていく過程でどう展開したかという観点に立ち、政治・思想、中央・地方の各領域にまたがるかたちで、各メンバ―の研究成果を報告・吟味する作業を進め、それをもとに活発な討論・意見交換を行った。 具体的には、メールによる運営面での打ち合わせと並行して、研究代表者・研究協力者を中心とした研究発表を定期的に実施した。すなわち、12月3日には宮下和幸氏による研究発表会(「慶応期将軍進発前後の情勢と加賀藩京都詰―聞番の情報収集と周旋活動―」、於立命館大学)を、2024年2月12日には那波宏哉・清水唯一朗両氏による研究発表会(「伊故海貴則著『明治維新と〈公議〉』」、「審議と調査―帝国議会における公議の変容」、於慶応義塾大学SFC都心サテライト)を行った。また、過去の発表者の研究を元にした研究論文集の編集を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年以来継続しているCOVID-19をめぐる状況(感染拡大、および感染数が減じたとしても完全に収まりきらず継続して日常化してしまう状況)が長引くなか、対面形式での研究会開催が事実上不可能である状態が長らく続いてきた。 本課題の中核をなす「公議」研究会では、かかる事態の継続・ある種の定着をうけて、2020年度よりすべてをオンライン形式ないしはハイブリッド形式での実施に切り替え、また実務的な打ち合わせも同様の形で行ってきた。オンラインないしはハイブリッド形式は、利点・利便性もあるものの、丹念で緻密な意思疎通や合意形成の面ではなお課題が残り、課題遂行にはやや遅れが生じている。具体的には、対面形式で代表者・分担者・研究協力者などのコアメンバーが一同に会して意思疎通を行ったり大きな方向性・課題を議論するような機会を設けることが難しく、手探り状況での研究会運営が続いている。なお、2023年度は5月にCOVID-19が五類に移行したため、それ以前に比べて制約は徐々に解消されていった。具体的には、先述した2回の研究会は共に対面形式(含ハイブリッド)で行うことができた。しかしそれでも、しばらくは様子見の状態が続き、研究会の開催等の計画に影響が及んでいる。また、研究代表者(奈良、広島大学)と幹事(伊故海、立命館大学)の物理的距離による運営面での不便さ、弊害も、関連事項のスムーズな議論、企画運営の妨げとなっている。また、伊故海氏の勤務地の変更により幹事業務の那波宏哉氏(立命館大学大学院生)、和田真樹氏(広島大学大学院生)への委譲がなされたことも、計画の進捗に少しく影響を及ぼしている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の感染拡大という事態が、五類への移行に象徴されるように一応の落ち着きをみせたことを受け、次年度はハイブリッドも交えつつ、対面式の研究会を増やしていく予定である。 また、下半期から年度末にかけても上述の状況が安定的に継続していれば、コアメンバーの数人に加えて、ゲストの講演を組み込んだシンポジウムを企画したい。もっとも、状況を注視しながら、実情にあわせてオンライン、もしくはハイブリッド形式での開催も考慮に入れている。 研究会やシンポジウムの開催場所としては、関西地域(京都・大阪)および東京、広島、北海道等を想定しているが、柔軟に検討、調整を加えていきたい。また、本課題において主催する研究会形式のみにこだわることなく、各メンバーが個別次元でも国内外の学会・研究会・シンポジウム等で、近世中後期から近代にかけての「公議」、政治社会における意思決定に関わる問題に関する研究発表を積極的に行い、議論を重ねていくことも積極的に奨励し、進めていきたい。 また、これまで進めてきた既発表者の研究を元とした研究論文集の編集を進め、脱稿にこぎつける予定をしている。 打ち合わせに関しては、状況をみながらZoomやメール、対面形式で意見交換・意思集約を軸に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が発生した主たる領域は研究会参加旅費に関してであるが、COVID-19が五類に移行したとはいえ、しばらくは様子見の状態が続くなど制約が継続した側面は小さくなく、対面の研究会参加にかかる費用が当初予想を下回った。また、他の研究計画とセットで研究会に参加するため、諸費用の一部を請求しないというケースもあった。 翌年度分として請求した助成金とあわせた使用計画としては、予定しているシンポジウムの規模を当初計画よりも拡大する(講演者の数を増やす等)ことでいっそうの充実を図ることなどを考えている。
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