研究課題/領域番号 |
21K00858
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
梅田 千尋 京都女子大学, 文学部, 教授 (90596199)
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研究分担者 |
細井 浩志 活水女子大学, 国際文化学部, 教授 (30263990)
小池 淳一 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60241452)
林 淳 愛知学院大学, 文学部, 教授 (90156456)
赤澤 春彦 摂南大学, 外国語学部, 准教授 (90710559)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 陰陽道 / 民間信仰 / 術数 / 暦学 / 天文 |
研究実績の概要 |
本共同研究参加者が科研採択以前より編集を進めてきた『新陰陽道叢書』(名著出版)の刊行を継続し、全五巻を完結させることが出来た。各巻に集録された個別の論文については、別記業績報告の通りである。さらに『現代思想 陰陽道・修験道を考える』の刊行により、その成果の概要を広く一般読者に向けて発信することが出来た。これらの成果は、研究目的で掲げた「異なる時代・分野を専門とする研究者が、陰陽道史料群の共同研究を行うことで、通史的解明を目指す」という目標をある程度達成したと言える。特に最終巻の「第五巻特論」では、従来見られなかった東アジア諸地域における暦制の比較や、安倍晴明像の変遷を通じた史実と伝説との相互作用など、新鮮な論点を織り込むことが出来た。全巻を通じて陰陽道史の新たな時代区分・時代像を提起し得たといえるだろう。 また、『新陰陽道叢書』各巻刊行に伴って、<陰陽道史研究の会>や<暦の思想史研究会>などの研究会で書評会や関連する研究会をもち、隣接分野も加えた研究者との意見交換を行った。また、日本宗教学会でのパネル「暦の思想史」でも本共同研究の成果が披露された。 共同研究のもう一つの柱である出張による共同での史料調査(特に国立歴史民俗博物館での現物史料を用いた調査)と史料情報の整理・集積は、蔓延防止等重点措置などの影響で実施できなかったものの、参加者個々人による史料収集は一定程度進展し、それぞれ成果として発表している。 対面での研究会も行えなかったが、これについては次年度以降の課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で1年目の課題として掲げた項目の進捗状況は以下の通りである。 ①陰陽道本所土御門家文書(京都府立歴彩館蔵若杉家文書・宮内庁本書陵部所蔵土御門本)に含まれる祭祀・陰陽道儀礼関係史料の翻刻と全容把握に着手している。土御門家祭文・祭祀史料の体系化については、奈良暦師吉川家旧蔵資料(既撮影分)との対比を中心に分析を進めている(梅田)。また、吉川家旧蔵資料に含まれる新発見の中世占術書については、紙背文書も含めて高精細撮影を行い、史料の伝来も含めた調査を進め、既に多くの所見を得ている(赤澤)。本史料に関する論文は2年目に発表する予定である。 ②東北地方の暦・安家神道関係史料・近世~近代暦関連資料((東北大学・宮城県立図書館・宮城県登米市・岩出山市)の調査については、合同での調査は出来なかったが、入手済みの会津地方修験道典籍資料群に混在する史料の分析を進めている(小池・林)当該史料群による調査・執筆は順調に進展しており、これらの成果については、次年度の論文発表(学術誌特集号への掲載)を目指して執筆を進めている。 論文集・雑誌特集の刊行は順調であり、予定していた刊行スケジュールを、ほぼ守ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に、下記の通り当初の研究計画に従って研究を推進する。但し、出張に制約がある場合は史料の取り寄せなどで代替し、可能な限り遠隔での調査でカバーする。 ①引き続き、土御門家文書の祭祀関係文書の編年について調査分析を続ける。國學院大学土御門家文書所蔵分もあわせ、現存する祭祀関連史料との関係を検討する〔梅田・林担当〕。 ②対馬藩関連史料について合同調査を行い(長崎県対馬歴史研究センター 令和3年度より調査受け入れ開始予定)祭祀・易占・陰陽道書の相互関係を明らかにする〔細井・小池担当〕 ③宇佐八幡宮他、九州の地域大社や地域に伝わった陰陽道関連史料・典籍の調査〔赤澤担当〕 以上、2年目は各地に点在する陰陽道関係資料、とりわけ九州地方に着目して、東アジア世界との交流を視野にいれて進める。 また、宗教学会にてパネル発表を行い、陰陽師像に関わる通史的な報告を行う。また、1年目の研究成果を中心に学術雑誌の特集となる論文の執筆を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
まん延防止等重点措置などにより、予定された出張(史料調査・対面での研究会)が出来ず、公開研究会も開催できなかったため。
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