研究課題/領域番号 |
21K00865
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館 |
研究代表者 |
松浦 晃佑 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 研究員 (40774807)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 松浦家 / 平戸藩 / 大名家 / コレクション |
研究実績の概要 |
2021年度は、松浦家コレクションを引き継いだ、長崎県平戸市の松浦史料博物館で資料調査を行った。調査対象は松浦史料博物館で「什器類」と分類した資料で、松浦家が家宝としたものや書画、収集品類まで幅広く調査を行った。松浦史料博物館が1962年に刊行した『什器類目録』が、膨大な松浦家コレクションを把握するために必要であるが、記載漏れやミスなどもある。そこで、まずは『什器類目録』をデータベース化し、調査結果をもとに、記載漏れやミスを修正し、法量などの必要情報を追加した。また、箱書き等から判明する伝来の経緯や、平戸藩内もしくは松浦家でどのように保管されていたのかという情報もデータベースに追加し、松浦家コレクションの形成を把握できるようなデータを作成、蓄積した。 松浦家コレクションの形成を把握できるデータはまだ不十分ではあるが、次のことが推定できた。平戸藩主第9代の松浦清(静山)は、人的ネットワークを利用して、文物を積極的に収集したことで著名であるが、松浦家コレクションの分類と再編成は、清の子の熈の影響を強く受けている。著名な清が注目される傾向があるが、熈の活動にも目を向ける必要がある。 一方、かつて松浦家コレクションの一部であったものの把握については、松浦伯爵家が昭和に行った売立入札会に出された美術品のデータベース化が完了した。 松浦史料博物館の松浦家コレクションの歴史的重要性は文化庁や長崎県、平戸市も認識しており、整理事業が検討されている。文化庁、長崎県、平戸市、松浦史料博物館とともに、本研究との連携について協議を行った。 2021年度末には、研究成果報告会を九州国立博物館で開催し、成果の共有を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令され、県をまたいだ移動ができず、資料調査が予定どおり実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、松浦史料博物館にて資料調査を行い、松浦家コレクションの基本データ、伝来の情報、平戸藩内もしくは松浦家でどのように保管されていたのかという情報を蓄積する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が発令されたことで、計画どおり調査を実施できなかった。次年度も引き続き、松浦史料博物館での継続的な調査を予定しており、旅費として使用する計画である。
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