本研究課題では、とくにイスラエルへ移民したイラク系ユダヤ人、モロッコ系ユダヤ人、イエメン系ユダヤ人を中心に、時期を異にし、入植地域も違う移民過程とイスラエルでの定住をどのように見ているかを検討することであった。イスラエル建国前に移民したイエメン系ユダヤ人、アラブ・イスラエル紛争の勃発によって1950年前後に移民したイラク系ユダヤ人、そして1960年代以降モロッコ国王の出国許可によって移民したモロッコ系ユダヤ人の三つの事例では、移民の時期・動機の違い、イスラエル社会への同化の仕方、そしてその後のイスラエル社会で果たした役割を、各コミュニティの文化的伝統の違いを通じを明らかにした。
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