本研究を計画した際の当初の目標では、最終年度である2023年度に、研究対象とするウズベキスタンで収集した古文書のデータを整理して、カタログを作成することであった。しかしながら、昨年度までの研究実績の欄でも報告したように、そもそも企画の甘さから研究方法を大幅に変更したため予定より作業が遅れていた。 本年度は、2002年度より長年にわたって継続的に実施した「中央アジア古文書研究プロジェクト」を共に牽引してきた磯貝健一京都大学教授の全面的な協力を得て、まず、カタログに記載する項目を決定してひな型を作成した。次いで、ヒヴァのイチャン・カラ博物館に収蔵されていた古文書と、2003年に我々が収集して同博物館に寄贈した古文書のうち、売買に関する文書48点について英語・ロシア語併記によるカタログ:「国立イチャン・カラ特別保護区博物館所蔵、及び2003年収集のヒヴァの売買文書簡易カタログ」を作製することができた。これは、イスラーム法廷文書に精通しロシア語も堪能な磯貝教授の尽力によるものであることを明記したい。同カタログのデータは、ヒヴァのイチャン・カラ博物館前館長で、上記古文書プロジェクトの協力者であるカミルジャン・フダイベルガーノフ氏にも提供しており、同博物館のウェッブ・サイトで公表される。 以上、本研究は当初目指した成果を十分に上げることはできなかったといえよう。しかしながら、長年にわたって続けてきた上記プロジェクトの総決算とも言えるカタログの作成は、プロジェクトを企画し実施してきた者としての責務であり、現在プロジェクトを主宰している上述磯貝教授に協力して、今後とも作成作業を続けていきたいと考えている。
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