研究課題/領域番号 |
21K00916
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
蓮田 隆志 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (20512247)
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研究分担者 |
内田 力 東洋大学, 国際共生社会研究センター, 研究助手 (00865165)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 歴史教科書 / 東南アジア / 朱印船 / 日本町 |
研究実績の概要 |
21年度は、図書館での教科書現物調査がほぼ全面的に不可能となる厳しい状況であった。そのような中で、蓮田と分担者の内田、研究協力者の川口は、それぞれ学説史を中心に文献調査と分析を行った。蓮田は収集済みの2018-19年発行教科書データの整理を進める一方で、学説史研究としては重要な英語文献(アンソニー・リード『世界史のなかの東南アジア』)の邦訳(共訳)を刊行し、2020年度の研究状況を概観する『史学雑誌』の「回顧と展望」の中の東南アジア史欄を担当した。内田は教科書記述の背景にあたる学界動向や学説史を個別トピックに絞って調査を行った。これと同時に、現代社会の移民問題に研究者として関与したことで、教科書出版を取り巻く社会情勢に対する貢献や意義を明確にすることができた。また、歴史上の国を越えた人の移動(移民)、とくに人の移動という論点を歴史教育にどのように生かすべきかに関して、複数の学会で発表した。加えて、国連の移民調査プロジェクトに参加し、国別レポート(「GCM Review Consultations JAPAN Country Report on Migration」)の共著ともなっている。川口はタイ史を中心に学説史の検討を行った。1980年代初頭までに、アユタヤ朝の王権と貿易との関係に注目が集まり、タイ史研究に朱印船貿易研究の成果が取り入れられたことが確認できた。その成果の1つ、石井米雄、桜井由躬雄『東南アジア世界の形成』(講談社、1985年)は「17世紀アジアの貿易都市」という地図を掲載しており、後発の地図に影響を与えた可能性が考えられる。 研究協力者の久礼は主に国立国会図書館や筑波大学図書館についてオンライン上で蔵書や公開状況の確認を行った。これを基に2022年度は現物確認と図版の収集を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの蔓延により出張に大きな制限がかかり、各種機関に所蔵されている過去の教科書の調査が事実上行えなかった。そのため、遅れていると評価せざるをえない。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に行えなかった図書館調査をコロナ禍の状況を睨みつつも推進して遅れを取り戻したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延のため、図書館の使用に大きな制限がかかり、出張費を当初予定通りには執行できなかったため。 22年度と23年度とに出張予定を振り分けるとともに、中古教科書の購入にも充てたい。
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