研究課題/領域番号 |
21K00928
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
宮野 裕 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (50312327)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 教会法 |
研究実績の概要 |
研究計画に基づき、ルーシに伝わる写本でビザンツ法エクロガの試訳を行った。ただ作業自体は遅れており、全範囲の下訳を行ったものの、まだ完成にはほど遠い。またそれと並行して、ルーシの教会に関するノヴゴロドの聖職者キリクの問答集であり、後に教会法の一部にもなったキリクの質問の研究を行い、一部試訳を含め公表した(宮野裕「中世ロシアの教会問答集「キリクの質問」1 」岐阜聖徳学園大学紀要 (61) 87-108 2022年3月)。ここでは、主に簡素版と主要版の検討を行い、最新の研究で述べられていた簡素版先行説を否定し、主要版先行説の正しさを論じた。なお、質問状自体の分量が多く、発表出来なかった分を今年発表したい。 他には共同研究でのガーリチ・ヴォルィニ年代記の翻訳・注釈作業を継続し、これを刊行した。(中沢敦夫, 宮野裕, 今村栄一『イパーチー年代記』翻訳と注釈(14)- 『ガーリチ・ヴォルィニ年代記』(1287-1292年) 富山大学人文学部紀要 (74) 173-217 2021年2月 )。新年度からはノヴゴロド第一年代記新編集版の訳読に取り組んでいる(毎週の訳読)。 他、古代ロシア研究会でのラヴレンチー写本の訳読(毎月の訳読)、西洋中世学会における報告の司会等(2021年度大会)を行った。他にもルーシとビザンツの関係を専制君主の称号に焦点を絞って考察する研究を行っており、これは科研報告会(2022.2)で報告した。そこでの意見を受け、西洋中世研究の来期号に投稿の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属機関の役職にあたってしまい、進捗状況は芳しくはない。エクロガの訳読を完成させ、注釈を付けたものを昨年完成させるはずだったが、現在はエクロガの下訳を終えた段階である。これがコルムチャヤ等にどのように入れ込まれたのか等の検討をまだ必要としており、これに従事したい。
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今後の研究の推進方策 |
所属機関の役職が長期にわたりそうなので、ペースは落とさざるをえないが、一定の進捗は確実に行いたいと考えている。年度末に行われる科研報告会を目標にまずは仕上げておきたいと考える。 他、悪路がと同様にコルムチャヤに取り込まれた他の史料についても少しずつ進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学内でカリキュラム再編の担当・実習仕切役の担当が重なり、大幅に研究時間が制限されたので、他大学からの科研費の使用で十分にまかなえてしまった。またそもそもコロナ蔓延で海外に行くことも出来ず、残ってしまった。
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