研究課題/領域番号 |
21K00930
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小川 真和子 立命館大学, 文学部, 教授 (60443610)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ハワイ / 日本人水産業 / 日米関係 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度に引き続き、ハワイ大学出版から出版を予定している『Oceanic Japan: The Archipelago in Pacific and Global History』の分担執筆論文、「Sampan and Uncle Sam: The Collaboration and Confrontation between Hawai`i and Washington during the Mid-twentieth Century over Japanese Sampan Fishing in Hawaiian Waters」の仕上げへ向けた作業を行った。 その作業と並行しつつ、水産業と直接的な関わりはないが、太平洋世界の構築とその史的展開に強く関連する新たな研究にも着手した。具体的には1874年に禁酒運動推進を掲げてアメリカ中西部で形成され、オセアニアや日本、中国を含む世界組織となったWorld Woman’s Christian Temperance Union (WCTU)の活動を取り上げ、19世紀後半から第二次世界大戦終了期までにおける太平洋のキリスト者女性の交流についての一次資料・二次資料収集を行うとともに、単著出版へ向けた執筆を進めた。 さらに昨年度、着手した沖縄戦におけるひめゆり部隊に関連する研究報告を女性史総合研究会において行うなど、「太平洋と水産業」を主なテーマに、様々なサブテーマに関連する研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題はコロナ禍のため、研究開始時から数年間、渡米して一次資料収集にあたることが出来なかった。そのため、既に入手している一次資料の読み直しなど、研究方法の大幅な変更を余儀なくされた。また複数の著者による著作『Oceanic Japan: The Archipelago in Pacific and Global History』の出版も、他の著者がコロナに罹患するなどのため、当初予定よりは大幅に遅れることとなった。 しかしその一方で、本研究着手時には想定していなかった、日本キリスト教婦人矯風会とその母体であるWoman's Christian Temperance Unionに関連する研究が進展し、単著出版へ向けた新たな研究活動に結び付けることが出来るなど、思わぬ副産物があったことも事実である。そのため、当初予定以上に研究が順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究の最終年度にあたるため、『Oceanic Japan: The Archipelago in Pacific and Global History』および『女たちの日米関係(仮題)』の出版実現を目指す。その一方で、新たに「太平洋世界の史的展開」と題した次の研究プロジェクトを立ち上げ、これまで太平洋世界の史的構築に貢献した様々な人々や情報、物質、資金などの動きを網羅的に理解するための新たな研究も着手する。このプロジェクトにはベテランから若手も含めた他の研究者も参加する予定であり、本研究を母体としてさらにそれを発展させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって研究計画に変更が生じ、海外渡航費の残額が生じた。2024年度は本研究の完成へ向けた補足調査、具体的にはアメリカにおける一次資料収集およびフィールドワークを行い、その成果を反映した研究報告・論文・著書の発行を通して研究を広く社会に対して還元する予定である。
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