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2023 年度 実施状況報告書

中世後期フランス・ネーデルラントにおける「魂の統治」と「聖なるものへのアクセス」

研究課題

研究課題/領域番号 21K00948
研究機関ノートルダム清心女子大学

研究代表者

轟木 広太郎  ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (60399061)

研究分担者 図師 宣忠  甲南大学, 文学部, 教授 (60515352)
青谷 秀紀  明治大学, 文学部, 専任教授 (80403210)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード魂の統治 / 聖性 / フランス / ネーデルラント / 異端
研究実績の概要

代表者の轟木は、以下の4つの方向で仕事を進めた。(1)フィリップ4世時代に起こった魔術事件について史料調査を行った。トロワ司教ギシャールが王妃殺害に魔術を使ったとの疑惑をかけられた事件の一件資料を、パリの国立古文書館で収集するとともに、事件の分析を開始した。(2)フィリップ4世時代のテンプル騎士団事件についての検討を継続した。(3)説教史料のなかにあらわれる悪魔降霊術の史料の紹介と分析を執筆したさ(2024年度中に刊行予定)。(4)告解および贖宥について検討をはじめた。
図師は引き続き南フランスの異端審問に関連して、以下の3つの観点から研究を進めた。(1)13・14世紀南フランスの異端審問において審問官をつとめたドミニコ会士がいかに尋問を進めたのかを検討した。(2)13世紀にミラノ北方で殉教し、一年後に列聖されたヴェローナのペトルスについて分析した。(3)クレモナのモネタによるカタリ派の教義に関する議論を検討した。
青谷は以下のように、中世末期から近世初頭のネーデルラントにおける都市民の霊性についての政治権力について研究を進めるとともに、論文を発表した。(1)14~15世紀のブルッヘにおいて都市エリート及び中間層が囚人のために行った寄進の分析から、市内における霊的ネットワークのあり方を明らかにしようと試みた。(2)ネーデルラントにおける統治意識と関係する歴史・地誌の展開をまとめた論文を発表した。
また、今年度は9月に明治大学で研究会を開催した。轟木が、「たとえ陰謀だとしても
-テンプル騎士修道会訴訟(14世紀初頭)と共通善-」と題して、テンプル騎士団事件と贖宥、悪魔降霊術をテーマに発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は研究会は1回のみの開催であったが、代表者の轟木の報告をもとに、メンバーが共同研究全体の見通しについていっそう共通認識を深めることができた。
また、以下のように個々のメンバーがそれぞれ研究課題を進めることができた。
轟木はフィリップ4世治下のテンプル騎士団事件について各種の史料的検討を進めたほか、告解・贖宥の検討を開始させたし、説教史料にも取り組んだ。
図師は南フランスの異端審問研究を、とくに異端思想との関連においても進めた。
青谷はネーデルラントについて都市(ヘント)民特有の霊性について研究を進めた。

今後の研究の推進方策

最終年度ということであり、複数の研究会を開催するとともに、個々人が自分の担当フィールドについてまとめをおこなう。成果は、論文集(電子データ)としてまとめて公刊したい。
轟木は、中世後期における魂の統治、「聖性」へのアクセスについての総まとめを行い、個別テーマについて(テンプル騎士団事件やトロワ司教事件など)モノグラフを著す。
図師は、南フランスの異端審問、青谷は都市的な聖性やネーデルラント君主にかかわる霊性にういてそれぞれまとめる。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響もあり、海外出張の頻度がこの段階までで予想より少ないため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] (書評)渡辺節夫訳著『国王証書とフランス中世』(知泉学術叢書19)2023

    • 著者名/発表者名
      轟木広太郎
    • 雑誌名

      史学雑誌

      巻: 132-11 ページ: 49-54

  • [雑誌論文] (新刊紹介)Yoichi KAJIWARA, Du frère au maître: Les dominicains de France face au système universitaire des grades au Moyen Âge, Paris, Les Éditions du Cerf, 2022, 534p., €38.002023

    • 著者名/発表者名
      図師宣忠
    • 雑誌名

      西洋中世研究

      巻: 15 ページ: 186-187

  • [雑誌論文] 「前近代のヨーロッパに「地方史誌」を探る―ルネサンス期フランドルの歴史叙述をめぐって―」2023

    • 著者名/発表者名
      青谷秀紀
    • 雑誌名

      小二田章編『地方史誌から世界史へ―比較地方史誌学の射程―』勉誠社

      巻: 1 ページ: 80-100

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公開日: 2024-12-25  

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