研究課題
今年度は、本研究の着想の原点となる布留遺跡布留(堂垣内)地区の埋蔵文化財天理教調査団所蔵縄文時代資料整理を中心に行ったほか、昨年度から引き続き、日本列島西部における先史遺跡出土の焼成粘土塊の集成作業を継続して行った。埋蔵文化財天理教調査団所蔵の布留遺跡布留(堂垣内)地区縄文時代資料の実態を明らかにすることは、同遺跡において土器製作が行われた可能性を示唆する焼成粘土遺構の形成年代や背景を知る上で極めて重要である。この遺跡の縄文時代遺構に関する報告書は、研究代表者の岡田、協力者の河本、小畑も関与しながら、2022年10月に刊行されたが、そこに掲載できなかった包含層出土遺物約500点について、基礎資料の全体把握をすべく、図化、記載作業を行い、今年度末にそれを完了することができた。また、同遺跡出土の焼成粘土遺構と土器の胎土や色調、焼成温度を比較すべく、分析試料の採取を行い、具体的な分析の準備を進めた。今後、この分析を進めるとともに、縄文時代資料の実測図を基礎資料として公開すべく、準備を進める予定である。
3: やや遅れている
資料所管機関である埋蔵文化財天理教調査団が今年度末に閉鎖するのに伴い、布留遺跡布留(堂垣内)地区縄文時代資料の整理作業を優先させたため、今年度計画した焼成実験が実施できなかったこともあり、今年度の研究はやや遅れ気味である。
現在進めている布留遺跡布留(堂垣内)地区出土縄文時代資料の実測図を基礎資料として刊行準備を進めるとともに、昨年度に実施できなかった追加の焼成実験を行い、それと出土焼成粘土塊との比較検討成果を盛り込んだ報告書の刊行を目指す。
今年度計画していた焼成実験が、諸般の事情により実施延期となったこと、分析試料採取が予定より遅くなり、胎土分析が実施できなかったことのため、計上していた資材購入費と分析経費を次年度に持ち送りせざるを得なくなったため。
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季刊考古学・別冊
巻: 40 ページ: 43-46