本研究は、焼成粘土塊を検討することで、どのような形態的特徴を有するものが土器製作に関連するものかを特定し、その基準にもとづき土器製作関連遺跡を抽出して、先史社会の土器供給体制を究明することを目的とした。 本研究では、縄文時代から弥生時代の焼成粘土塊の集成、観察、分類とともに、焼成実験を実施した。その結果、土器製作の諸工程に対応する焼成粘土塊の特徴的な形態を認定し得た。また、土器製作素地の貯蔵施設の失火と仮定した布留遺跡の被熱粘土遺構が、土器製作に関連する可能性が小さいと判断され、混和材を入れた扁平な粘土を貼って構築した火処施設が、縄文時代に一定程度存在したことを明らかにし得た。
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