研究課題
基盤研究(C)
古代中国の呉越の青銅製農耕具について研究を行った。分布・消長を確認し、型式編年研究の精査につとめ、その生産・流通・廃棄および埋納の過程を統計的な解析を進めた。これによって農耕具の考古資料から当時の呉越社会について解明した。また、日本国内での在来農耕具での比較研究を精力的に進めた。特に江南地域と地理的環境が類似する低湿地・干拓地等における在来農耕具、水田造成に用いられた農具について考察を進めた。
考古学
中国考古学における青銅器研究は、造形・工芸の観点より美術史的な考察が多くみられる中で、本研究では経済、実際的な社会復元を行った点に意義を有している。青銅製農耕具に関しては、「金属製の農耕具が出現した」ことで農耕社会、農耕技術史的な評価が完結しがちであるが、既存資料の再整理・再検討を行いながら同范器物の抽出を行うことによって、青銅製農耕具の生産・流通・廃棄および埋納のシステムを解明することが可能であることを実証した研究となった。