古代西アジアに形成された領域国家や帝国が、その領域と覇権が及ぶ範囲の在地社会にどのような影響を及ぼしたのか。この問いについて、本研究ではパレスチナ地域を事例に、考古資料から通史的に検討した。主な研究成果として、ゼロール遺跡出土資料の整理・検討から、1)エジプト新王国のパレスチナにおける活動拠点とその影響圏の具体的様相、2)同地域の居住史(集落数の増減、集落の性格、人口動態など)が覇権主義勢力の進出と後退にある程度連動していたことなどを明らかにした。また、レヘシュ遺跡とその周辺地域の調査成果を再検討し、3)アッシリア帝国の支配地域における集落の動態と流通ネットワークについても新知見を得た。
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