研究課題/領域番号 |
21K01001
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
朝日田 卓 北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (00296427)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 博物館教育 / 指導者育成 / 震災復興事業 / 風土の再興 / 教員のための博物館の日 / 被災地浅海域の環境変化 / 地域固有文化財 / 体験学習 |
研究実績の概要 |
本研究は、東日本大震災からの復興過程にある岩手県陸前高田市において、復興もまた災害の過程であるという考え方をベースに、震災で失われた風土の再興を人材育成と共に行い得る博物館教育システムを構築し、長い間失われたままであった生涯学習環境の復興のみならず、人々の心の復興にも資することを目的としたものである。 本研究が開始された2021年度および2022年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により社会活動が大きく制限され、現地博物館での調査研究を始め開発した博物館教育プログラムの活用や実証試験、そのフィードバックによる指導者育成プログラムの開発等がほとんどできなかった。また2023年度は、5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症になって以降も、実証試験を実施予定であった小学校で発生したクラスターや台風等の悪天候により、教育普及事業を利用した活動が出来なかった。そのような中でも、本研究において整備した体験学習用貸し出し教材借用依頼が大船渡市、陸前高田市、釜石市からあり、また大船渡市立博物館で開催した「教員のための博物館の日」においても活用することができた。しかしながら、実証試験が不十分であることから研究期間延長申請を行い、もう一年かけてより良い成果を目指すこととなった。一方、博物館教育プログラムのベースとなっている被災地浅海域での調査研究は、回数が減ったものの継続することが出来た。これらの研究成果等を反映させた新生陸前高田市立博物館の常設展示「奇跡の海三陸」「海と生きる人々」「自然と共に生きる」の評判は良好であることから、体験学習プログラムの実証試験を通じて市民の原風景に迫り、指導者育成プログラムの開発と展開に繋げて行きたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究開始以来、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための行動制限により、開発した博物館教育プログラムの実証試験が十分にできておらず、また2023年度もその状況が続いたこと(新型コロナウイルス感染症が5類感染症になって以降も、小学校などでクラスターが断続的に発生)から遅れをリカバリーすることが出来なかった。さらに夏に計画していた博物館の教育普及事業も悪天候等で中止に追い込まれたため実証試験が出来ず、その結果を開発した博物館教育プログラムにフィードバックすることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、陸前高田市立博物館および大船渡市立博物館の教育普及事業を活用した博物館教育プログラムの実証試験を行い、復興した博物館を核とした生涯学習システムと指導者育成プログラムを構築すると共に、その成果を広く市民に伝えるための冊子の作成や博物館教育用デジタルコンテンツの作成を行う。また、並行して行っている被災地浅海域での仔稚魚等の調査研究成果を活用し、博物館教育プログラムの充実を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、小学校の授業や博物館教育普及事業等を活用した博物館教育プログラムの実証試験を予定していたが、新型コロナウイルス感染症が5類に変更されて以降も断続的に生じたクラスター発生や台風等の悪天候により、ほとんどの活動が実施できなかった。このため、実証試験結果を博物館教育プログラムにフィードバックすることが出来ず、また次年度使用額が生じてしまった。 2024年度は、二つの博物館と一つの小学校における実証試験を実施する計画であり、その教材や実施経費および研究の取りまとめ等の費用として本助成金を使用する予定である。
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