2024年度は、根岸家に伝存する根岸武香の蒐集古物のうち、石器類の実測等の基礎資料化を行うと共に『榧園好古図譜』に所載される関連資料の調査などを積極的に行い、そのうち中条古墳出土埴輪の考古学的意義、蓑虫山人の筆による「埴輪群像図」や「武州椚田明神」名の懸仏の由緒にかかる事実関係、根岸武香をめぐる好古家ネットワークの解明などこれまで明らかにされていなかった幾つかの点を明かにすることができた。また、明治20年代に建築されたと考えられる古器物陳列場(蒐古舎)に関して、詳細な建築図面作成やレーザー測量などを行い、建築史学の立場からその詳細を明らかにすることが出来た点も特筆すべき成果と言えよう。最終年度であった本年度は、國學院大學博物館において研究成果を広く一般に公開する企画展示『榧園考古図譜 北武蔵の名家根岸家の古物(たから)』國學院大學博物館」(会期 2024年2月17日から4月14日)を実施した。期間中講演会やYouTubeでの動画配信なども行い、約7000名の来館者の研究の啓蒙を図ることが出来た。会期中一般来館者が所有する古墳時代の遺物が『榧園好古図譜』に所載されている画像と一致し、新たな資料として確認できたことも収穫の一つと言えよう。3ヶ年に亘る研究成果は、『人文資料形成史における博物館学的研究』Ⅲ に研究分担者、研究協力者によって論文、報告の形で取りまとめ、ホームページ上でも公開している。
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