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2023 年度 実施状況報告書

高齢社会における博物館のリラックス効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K01004
研究機関九州産業大学

研究代表者

緒方 泉  九州産業大学, 地域共創学部, 教授 (10572141)

研究分担者 井上 幸一  福岡女子短期大学, その他部局等, 准教授 (30462097)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード博物館浴 / 心理・生理測定 / リラックス効果 / 美術鑑賞 / 回想法
研究実績の概要

これまで、「博物館の高齢者プログラム研究」は、回想法、音楽・美術鑑賞行動(以下、博物館行動)の有効性について、高齢者の心理的機能の緩和、認知的機能の改善、QOLの向上などが示唆されている。その評価については、感情変化や行動変化などの外的要因観察法=質的調査法が一般的であった。しかし、これらを博物館が福祉・医療機関と連携して導入するには、その効果に関する科学的な根拠が求められる。
本研究は、博物館行動によるリラックス効果=博物館浴効果を、心理測定(POMs、VAS法など)、生理測定(血圧・脈拍など)やインタビュー調査などから検証することを目的とする。
研究初年度は、プログラム開発期と位置づけ、1.博物館行動に関する先行文献の国内外調査・分析(5月~2月)、2.高齢者の健康を考えたプログラムに関するWebアンケート作成・調査・分析(対象は、保健福祉部局、博物館など社会教育施設)(5月~10月)、先行事例悉皆調査(12月)、3.博物館行動プログラムの開発実践、効果評価のデータ分析(9月~1月)、4.「博物館健康ステーション」構想勉強会(心理・生理測定データの分析・プログラム検討:学芸員、保健福祉担当者、医療従事者)(11月~2月)を計画した。
しかし、2021年4月以降。新型コロナウィルス感染拡大の第4波、第5波、第6波が続いた。その間、自治体の保健福祉部局、博物館などの社会教育施設は新型コロナウィルス対策対応に追われたため、先方での対応が困難なWebアンケートや悉皆調査、博物館行動プログラムの開発実践などを断念せざるを得なかった。しかし、2022年度、2023年度は効果評価データ収集のための実証実験が本格化し、現在まで全国65館の協力を得て、902名のデータを収集し、分析を行うことで、論文などの研究発表が進み、さらにオンラインによる米国、英国、台湾の研究者との研究交流も行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年4月以降、新型コロナウィルス感染拡大の第4波、第5波、第6波が続いた。その間、自治体の保健福祉部局、博物館など社会教育施設は新型コロナウィルス対応に追われたため、「博物館浴」実証実験などの対面調査の実施は困難であった。しかし、2022年度、2023年度は実証実験の数を増やし、九州、沖縄地域のほか、北海道、東海、近畿、中国エリアでも実施することができた。現在までに、全国65館、902名のデータを収集している。
また申請者らの博物館浴研究に関する論文を国内外に発表することで、国内はもとより、海外の研究者との交流も深められた。さらに、オンラインによる、米国、英国、台湾の研究者との交流を通じて、文化芸術を活用した、「認知症」「パーキンソン病」「脳卒中」「産後うつ」「不登校」の人々に向けたプログラムを知る機会を得た。こうした研究活動の再開、継続、進展という面から、「概ね順調に進展している」と言える。

今後の研究の推進方策

2024年度は、2022年度、2023年度に実施した、九州、沖縄地域のほか、北海道、東海、近畿、中国エリアで収集したデータを詳細に分析し、地域差や考古・民俗・美術・自然史などの作品、資料の差によるリラックス効果の差を検討していきたい。さらに、オンラインでの米国、英国などの研究者との交流を続けるとともに、新たにイタリアの研究者との交流も始める計画である。こうした研究交流を通じて、「博物館浴」の国際化を目指したい。

次年度使用額が生じた理由

2023年度は、新型コロナウィルス感染症の終息傾向を受け、対面による「博物館浴」実証実験の回数を増やした。
高齢者の健康寿命増進に向けた「博物館のリラックス効果」のデータは、これまでに全国65館、902名分蓄積することができた。しかし、目標とする1000名に達しなかったこともあり、2024年度前半に目標を達成させ、データの整理、分析を進め、研究論文としてまとめる計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 「博物館浴」の生理・心理的影響に関する基礎的研究(4) : 「鑑賞」・「ハンズオン」・「まち歩き」を事例として2023

    • 著者名/発表者名
      緒方泉
    • 雑誌名

      地域共創学会誌

      巻: 10 ページ: 101-134

  • [雑誌論文] 「博物館浴」の生理・心理的影響に関する基礎的研究(5) : 「考古」・「美術」・「自然史」など多彩な分野の鑑賞を事例として2023

    • 著者名/発表者名
      緒方泉
    • 雑誌名

      地域共創学会誌

      巻: 11 ページ: 57-88

  • [雑誌論文] 超高齢社会に向けた「博物館浴」のリラックス効果に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      緒方泉
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 25-11 ページ: 95-99

  • [学会発表] 「博物館浴」と高齢者のウェルビーイング2023

    • 著者名/発表者名
      緒方泉
    • 学会等名
      日本博物館協会「国際博物館の日記念シンポジウム」
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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