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2023 年度 実施状況報告書

江戸時代における貝類利用の俯瞰的研究-食用から美術工芸までを視野に入れて-

研究課題

研究課題/領域番号 21K01007
研究機関千葉県立中央博物館

研究代表者

黒住 耐二  千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (80250140)

研究分担者 照屋 清之介  千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (20841307)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードイボキサゴ / 貝肥 / 貝類利用 / 江戸時代 / マシジミ / 貝塚 / ウミニナ / 富栄養化
研究実績の概要

今年度も、現地調査として、1)遺跡においては茨城県稲敷市・村田貝塚、千葉市内の試掘調査、沖縄県伊計島の洞穴遺跡において近世期の層を確認することを目指して発掘調査等に参加し、一部では当該期の堆積物を採取した、2)近世期と比較するために詳細な量的組成の知られていない地域の貝類相の現況として北海道・襟裳岬周辺、新潟県・粟島をターゲットにした、3)遺跡出土貝類の詳細な組成を知るために鹿児島県与論島・与論城跡、沖縄県宜野湾市の洞穴遺跡の貝類同定を行った。また、現地調査時を含め、4)博物館や図書館で近世期の貝類利用状況の展示品確認や文献調査を行った。主な例として、韓国・釜山周辺や国立科学博物館の「和食展」、宮崎県立図書館等が挙げられる。
これらの調査成果も含めて、これまでの成果を論文等で発表した。その中には、東京湾東岸の千葉県市原市で、近世期に水田の肥料として、小形巻貝のイボキサゴを「貝肥」の名称で利用し、その採取に関して近隣の村落間での争いに関しては文献史学の研究が進展していたものの、貝肥の詳細に関してはこれまで全く知られていなかったが、今回、動物考古学的な手法で明確にした。その結果、イボキサゴが中心ながら、他の巻貝・ウミニナ類も多数利用されていたことや、イボキサゴとは生息環境の異なる泥干潟の巻貝・ヘナタリ類も用いられてきたことを明らかにした。さらに、二枚貝のアサリやホトトギスガイの存否によって、地先の富栄養化の存在やその程度に関して、これまで報告者により想定されてきた状況を明確に示すことができた。また当時の水田や水路に生息していた貝類も明らかにでき、近世期の淡水産シジミ・マシジミの移入種であった可能性を検証でき、日本で初めて具体的な近世期の水田の貝類相をデータとして示した。
また、研究成果を基にして、小学生向けのワークショップも行い、研究の活用にも努めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

博物館の展示会等の用務が多くなり、本研究に向けられるエフォートが減少してしまった。特に、現地調査や文献調査で、その遅れが顕著であった。ただ、論文等の作成や一般向けのアウトリーチへ成果報告は予定以上に進展させた。

今後の研究の推進方策

1年延長した今年度は、現地調査と文献調査の追加を行い、成果を貝類図鑑の出版や論文・報告書等の様々な形で発表していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、所属の展示会等の業務が増えたため、執行に残額が多く出tしまった。
次年度は、追加の確認調査の旅費・最終報告に向けての事務的消耗品購入・未返却資料の送料等に残額を、およそ均等に配分して使用する計画である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 東京湾東岸における江戸時代の水田肥料,貝肥堆積層の分析2024

    • 著者名/発表者名
      黒住耐二
    • 雑誌名

      千葉県立中央博物館研究報告

      巻: 17 ページ: 49-62

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 千葉市千葉神社周辺のボーリングコアから得られた貝類について2024

    • 著者名/発表者名
      黒住耐二
    • 雑誌名

      千葉いまむかし(千葉市郷土博物館紀要)

      巻: 37 ページ: 29-44

  • [雑誌論文] 貝類遺体2024

    • 著者名/発表者名
      黒住耐二
    • 雑誌名

      与論城跡,与論町埋蔵文化財発掘調査成果報告書

      巻: 2 ページ: 94-97

  • [雑誌論文] 非食用の貝類2024

    • 著者名/発表者名
      黒住耐二
    • 雑誌名

      村田貝塚

      巻: 1 ページ: 71-73

  • [学会発表] 貝類利用の変遷史2024

    • 著者名/発表者名
      黒住耐二
    • 学会等名
      第30回房総貝類談話会
  • [学会発表] 平瀬貝類コレクションのラベル2023

    • 著者名/発表者名
      黒住耐二
    • 学会等名
      第29回房総貝類談話会
  • [学会発表] 縄文時代の巻貝形土製品のモデルと水かがみ利用の可能性2023

    • 著者名/発表者名
      黒住耐二
    • 学会等名
      日本動物考古学会第10回大会
  • [学会発表] 浜詰貝塚の貝からわかること2023

    • 著者名/発表者名
      黒住耐二
    • 学会等名
      浜詰貝塚に生きた縄文人~京都府下唯一の縄文貝塚を探る~ 令和5年度第2回京丹後市文化財セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 江戸の人たちと貝. 貝と人びとの暮らし、いまむかし2023

    • 著者名/発表者名
      黒住耐二
    • 学会等名
      2023年夏休み学習会,港区立郷土歴史館,港区,東京. 「港区立郷土歴史館・東京海洋大学マリンサイエンスミュージアム連携事業」<見て・さわって7・学ぼう>―東京湾 自然と人―
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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