研究課題/領域番号 |
21K01021
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
五島 洋行 法政大学, 理工学部, 教授 (00398950)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | Contour-Based Network / Digital Terrain Model / GIS / Curvature |
研究実績の概要 |
数値地形モデル(Digital Terrain Model; DTM)データを用いた新たな地形解析方法の整備を開始した. 数値標高に関する高次微分の情報を利用することで,曲線・曲面の丸さの情報も加味した幾何的情報を取り出し,地形解析・空間解析分野に役立つ新たな枠組みの構築を目指している.可視化上のメリットよりも幾何的な計算や解析上のメリットを重視し,必要記憶量の削減や計算精度の保証などに注力する. 2021年度は主に,DTMデータを入力とする最急降下・上昇線の標本化方法の検討に注力し,少ない制御点数で高精度な特徴線の再現と,真の位置の分からない極大・極小点を跨いでの軌道の抽出などの枠組みを構築することができた.従来の極大・極小点の探索では,一旦極値を検出するとその時点で探索が終了し,極大・極小点を跨いだ軌道の検出が行えなかったが,今般の検討過程ではtolerance(許容誤差)の概念を新たに導入することで,真の極大・極小点の位置が分からなくとも軌道の探索を継続することができるようになった.また,曲面の曲率などは,従来は直交平面に射影したスカラ量の組み合わせが用いられていたが,今般の研究では,軌道に沿ったベクトル量由来の量を用いて計算する方法を開発した結果,簡素な特徴量にも関わらず,元の地形の再現性が高く,かつ制御点数を少なくする方法を構築することができた. この進展により,等高線基準ネットワーク(Contour-Based Network; CBN)の生成方法は,従来の方法から画期的な進歩を遂げたと考える.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間中の検討予定項目に関して,量的な意味ではほぼ当初予定どおり進捗している. 研究成果の質については,研究計画立案時の見込み・期待以上の成果が得られており,特に2021年度の研究成果は,地理情報学のみならず,数理計画・コンピュータサイエンス分野にも大きく貢献する内容であると考える.
|
今後の研究の推進方策 |
本報告書執筆時点では,COVID-19の影響がまだ残っており,有力な国際会議等での成果発表は十分に実施できている状態とは言えないが,研究自体の進捗は順調であり,学術論文誌での成果発表も目下のところ順調である. 今後も当初の研究計画どおり進めたい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年度はCOVID-19の影響が継続していたため,主に国際会議参加のための渡航費に余剰が生じた.2022年度後半頃には検討・参加を再開する予定であり,それに応じて助成金の執行も増える見込みである.
|