研究実績の概要 |
数値標高モデル(Digital Terrain Model; DTM)データを用いた新たな地形解析手法の検討と試験的実装を行った。DTMモデルに双3次スプライン曲面を用いたときの,等値線 f(x, y)=0を求める課題を主に検討し,(1) 平坦な地形や特異点がある場合など,完全な軌道の検出が困難な場合への対応と,(2) 見通し領域の検出など,f(x, y)の勾配と(x, y)の一次式との積が双3次スプラインの形式で書ける場合への応用を検討した。 (1)に関しては,例えば8の字型の等値線の交点は特異点であるが,数学分野でよく知られた特異点の解消方法での仮定や枠組みと異なり,特異点の真の位置が不明,方向付き等値線の検出の際に方向ベクトルが特異点上で不連続かつ急激に変化する,という本質的な違いがある。このため特異点の推定位置は誤差を含む前提で特異点の近傍領域を定め,その領域への出入りという観点で軌道検出を行う方法を考案した。 (2)に関しては,固定された観測点から見通せる限界線の集合,たとえば尾根の検出に用いることができる。見通し限界点を X=(x, y)とし,固定観測点の座標を P=(p, q)とすれば,z=f(x, y)が双3次スプライン曲面の場合,f(x, y)の勾配ベクトル∇fとX-Pとが直交する条件は,再び双3次スプライン曲面と同一形式で記述できる。 前年度までの検討結果により,等値線 f(x, y)=0の検出はいくつかの特殊ケースを除き,許容誤差(tolerance)以上のものについてはすべて検出できるようになったため,この研究成果を適用することで新たな種類の特徴線の検出が行えるようになった。
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