研究課題/領域番号 |
21K01029
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
武者 忠彦 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (70432177)
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研究分担者 |
大呂 興平 大阪大学, 人文学研究科, 教授 (50370622)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地方都市 / 都市のスポンジ化 / ライフコース / 家産継承 |
研究実績の概要 |
本研究は,地方都市で問題化している「都市のスポンジ化」がどのように進行しているのか,そのメカニズムを「世帯のライフコース」の視点から明らかにすることが目的である。地方都市では,空間と社会の持続可能性が問われているが,とりわけ都市の中心部に位置する商店街の空洞化とその空間的・社会的再編成は,都市政策上の喫緊の課題となっている。2023年度は,長野県X町の商店街を事例に,人口減少とライフコースの多様化を背景とした家業の後継ぎ不在,家産の継承者不在,その結果としての商店街の空洞化について,家業・家産・家族から構成される家システムを鍵概念として分析することを試みた。 調査では,こうした家システム継承の変化を精緻にとらえるために,商店街の全戸を対象とした対面式アンケート調査の実施に着手した。アンケートにおいて,「家業」については創業からの世代や業種の変遷など,「家産」については土地・建物の所有形態や履歴,建物の築年数や構造など,「家族」については,経営者の家族構成やこれまでのキャリアなどについて聴取している。この他に,家族間の子育てや介護などのケアについて,相互扶助や近隣関係などのコミュニティについても調査を進めている。現時点の調査結果からは,商店街では経営と所有の分離が提唱されているものの,地方圏では依然として家業・家産・家族の強固なバンドルがあることが明らかになりつつある。そのため,人口減少社会における新しい中心市街地のあり方として,福祉の空間として商店街を再編成する可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度に研究代表者の研究機関が変更となったことに加え,研究分担者も2024年度から研究機関が変更となることになったため,予定していた研究計画を遂行するための時間が大幅に削減され,研究期間を延長せざるを得ない状況となった。また,高齢化の著しい農山村地域を研究フィールドとしている特性上,本年度においても新型コロナウィルスの影響が若干みられ,予定としていたサンプル数の調査を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
長野県内において,2023年度に実施予定であった調査対象地区の全世帯および土地・建物所有者を対象とする対面式アンケート調査を実施する予定である。また,大分県内で実施済みの調査については,論文を投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述したように,研究代表者および研究分担者ともに,所属する研究機関の変更にともなう研究計画の遅れのため,予定していた調査が実施できなかったことによる。
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