研究課題/領域番号 |
21K01033
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
和田 真理子 兵庫県立大学, 国際商経学部, 准教授 (80275297)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 社会包摂 / 居場所 / オールドニュータウン / インナーシティ / NPO / ボランティア / コミュニティ・ビジネス |
研究実績の概要 |
本研究は大きく分けて、①神戸都市圏において社会的排除が集中している可能性が高い地区の解明、②経済的統合による社会的包摂において社会的企業・NPOが果たす役割と地区別の違いの解明、③日本版のコミュニティレベルの地域経済政策の提案、という3つの目的を持つ。2022年度には①と③に着手しつつ、主に中心となる②に取り組んだ。 ①については、小地域統計の分析を続けており、インナーシティと郊外という、異なる形で社会的排除が進む地区の特性を明らかにしようとしている。人口増減や移動に関する小地域統計データ分析の研究会に参加し、分析を進めている。③については各省庁の制度、国内外の先進的事例を収集しており、大都市における日本版地域経済政策のあり方を考察している。 ②の社会的企業・NPOが果たす役割については、長田・兵庫(インナーシティ)と西神ニュータウンと明舞団地(郊外ニュータウン)において、NPOや自治会、まちづくり団体、企業や個人にインタビューを行うとともに、西神のコミュニティかりばと協働で住民アンケートを行った。その結果、以下のことが明らかになった。 長田・兵庫では、アーティスト・クリエイターの集積が形成されつつあり、自治会、NPO、病院、福祉施設、職人、商店などが緩やかにつながり、高齢者、外国人、障がい者などが社会的に包摂されている例がみられる。現状、経済的統合まで進んでいるとは言えないが、緩やかなつながりの中で空き地の管理・菜園の運営、空き家の再生、クラフトジンの醸造といった、地域密着の新しいビジネスが生まれつつある。 コミュニティかりばは、地域で活用されていない自治会集会所を掘り起こしてネットワークし、住民の居場所やコミュニティ・ビジネスを生み出す構想を進めている。住民アンケートから、淡白なつきあいを望む人が多く、生活上の必需を満たしながら社会的に統合する居場所づくりが求められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の3つの目的のうち、①社会的排除の集中する地区の解明、③コミュニティレベルの地域経済政策の提案については、やや遅れているが、②社会的企業・NPOが果たす役割について、地域で活動するNPOの協力の下、アンケート調査で計画以上の成果が得られたこと、長田・兵庫で関係者のインタビューを予定通り行ったことから、全体としておおむね順調と判断した。①、③はデータの収集にやや遅れがあり、分析が十分に進められていない。 2022年度は、アンケート調査やインタビュー調査の成果の一部を1本の査読論文のほか、以下の2本の報告書にまとめた。 「狩場台・糀台地区における暮らし・居場所調査」結果-西神ニュータウンの成熟とNPOコミュニティかりばの役割-、2023年1月、兵庫県立大学政策科学研究所研究資料No.294 「アーティスト・クリエイター等の活動拠点支援事業の効果検証」報告書、神戸市からの委託研究、2023年1月
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今後の研究の推進方策 |
①、③については、9月まで引き続き情報の収集を行い、その後は分析とまとめを行う。 ②については、9月まで適宜追加調査を行い、①の結果とともに考察し、まとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査がしにくい状況が続いていたため、計画よりも使用金額が少なかった。 旅費が高騰しており、海外調査をするかは不透明であるが、海外に行けなかったとしても、文献やデータの購入でかなりの程度カバーできる。海外に行った場合は、残る予算の大部分を旅費として、行かない場合は、資料・データの購入、国内調査や学会発表のための旅費として使用する見込みである。
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