研究課題/領域番号 |
21K01043
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊賀 聖屋 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (70547075)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 異質化 / ネットワーク / 食料生産システム / エビ養殖 / インドネシア |
研究実績の概要 |
本年度は,国内外のエビ生産システムの調査に着手する予定であったが,新型コロナウイルスの流行によりインドネシア等におけるフィールドワークの実施が困難となった.そのため,研究の理論的枠組みを構築する作業を重点的に実施した.具体的には,1990年代以降,食料の地理学に影響を与えたアクターネットワーク論(Actor Network Theory, ANT)の理論的特徴を検討し,「食の世界の異質化(多様な食料生産システムの生成)」を解釈する上で必要な視点を整理した.その概要は以下の通りである. 1)ANTは,エージェンシーが組み合わさることで,行為を行うアクターが作り上げられ,世界を構成する諸事象が生み出されると考える(ラトゥール 2019).このような事象の捉え方を踏まえると,生産システムは食料供給に関わる諸アクターのネットワークから生じる関係的な効果として位置づけられる.したがって,多様な食料生産システムの生成を理解する上では,食料供給に関わるアクターのネットワークに着目しつつ,「そこでの関係性が個々のアクターのエージェンシーや行為といかに関わっているのか」を問う必要がある. 2)ANTは,他の場所・時間に分散するアクター間の相互作用を通じて何らかの事象が生み出されると考える.このような立場からすると,具体的な生産の場である食料生産システムは,距離を隔てて位置するアクターや過去・将来の出来事と相互に関係しながら生じるものと捉えられる.したがって,その理解に向けては,ある時点のネットワークの特性について,重層的な時間性と空間性を考慮しながら記述することが必要となる.そして,複数時点のネットワークの時空間的特性に対する理解をつなぎ合せることで,事象がいかに動的に立ち現れるのかを描くことができるようになる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度に実施予定であったエビ生産システムに関する調査がコロナウイルスの感染拡大のため延期となってしまったためである.そのことと関連して,フィールドワーク等にかかる費用を繰り越した.2022年度は国内(鹿児島県,沖縄県など)におけるフィールドワークを中心に研究を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルスの流行状況がまったく読めないことと,海外(インドネシアなど)におけるフィールドワークの実施が現実的に可能かどうか不明瞭である.今後は,日本国内のエビ生産システムに関するフィールドワークを中心に研究を進めていくことを検討している.本研究の枠組みとも関わる科学技術社会論やアクターネットワーク論に関連する文献のレビューは継続的に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で,2021年度に実施予定であった調査費用を次年度へと繰り越した.状況を見極めつつ,国内外のエビ養殖に関するフィールドワークに使用する予定である.
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