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2023 年度 実施状況報告書

産業の転換・高度化,市場創造と地理的環境

研究課題

研究課題/領域番号 21K01051
研究機関大阪公立大学

研究代表者

水野 真彦  大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 教授 (80305664)

研究分担者 長尾 謙吉  専修大学, 経済学部, 教授 (50301429)
立見 淳哉  大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (50422762)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード経済地理学 / 地理的環境 / 産業転換 / 産業高度化 / 市場創造
研究実績の概要

変化の激しい現代経済において,先進国の都市・地域では,産業を自ら変化させ,その市場を維持ないし拡大させることが求められている。本研究は,産業の転換・高度化,市場創造と地理的環境について経済地理学的視点より考察するものである。本年度の主な成果は以下の三点である。
本年度の成果は第一に,市場と社会のバランスという観点から,これまでの経済地理学及び隣接分野の地域経済発展の理論と政策について考察した。空間・都市経済学,制度派経済地理学,進化経済地理学,グローバル価値連鎖論,グローバル生産ネットワーク論,内発的発展論,アルタナティブな開発論などの議論が,どのように市場というものを評価し,どの程度社会的要素を考慮に入れているかという点から検討し,それによって導き出される政策はどのように異なるものになるかを整理した。その成果は「人文地理」75巻4号に展望として掲載された。この研究は,産業の転換や高度化が市場と社会のバランスのなかでいかに生じるかについての知見に貢献するものであると考える。
第二の成果は,研究分担者の立見と長尾によるもので,地域発展についてのコンヴァンシオン経済学からの検討である。Storper and Salaisによる「生産の世界」論は,製品の性質決定を軸に調整形態の多様性を描きだしたが,その議論は今日の価値づけの議論に結びついており,さらに市場を与件とするのではなく,市場自体の構築・創造を議論するうえでのコンヴァンシオン経済学は経済地理学に重要な理論的ツールを提供していることを論じた。この成果は2023年7月にフランスの政治経済学会で発表し,今後英語で発信する予定である。
第三の成果は,研究分担者の長尾によるもので,東大阪の中小製造業と住工混在問題について,ミクロレベルの考察を政策と関連づけながら論じ,英語で国際的に発信するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究レビューおよび研究枠組の構築,理論的議論の成果については順調に進んでいる。しかし,これまでの新型コロナ感染拡大の影響でフィールド調査がしにくかったことなどもあり,実証的な調査については遅れている。

今後の研究の推進方策

調査は,産業の転換・高度化に関するものと市場創造・価値づけに関するものに分けられる。これまで蓄積してきた近接性や価値づけの議論や,ローカルな需要の深耕の意義などの論点を盛り込みながら,独自性のある研究を目指す。

次年度使用額が生じた理由

研究機関開始当初が新型コロナ拡大期間であったため,フィールド調査が困難であったことにより一部の研究が送れている。理論的な考察については順調に進んでおり,成果も出ているが,実証的な研究に遅れがある。今年度は実証的研究を中心に注力することを計画している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 産業集積と地域産業政策ー領域性とネットワークの観点から―2024

    • 著者名/発表者名
      長尾謙吉
    • 雑誌名

      専修大学社会科学研究所月報

      巻: 729 ページ: 11-17

  • [雑誌論文] 領域とネットワークの視点からみた地域発展の理論と政策―市場と社会のバランスに着目して―2023

    • 著者名/発表者名
      水野真彦
    • 雑誌名

      人文地理

      巻: 75 ページ: 389~412

    • DOI

      10.4200/jjhg.75.04_389

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Local industrial displacement, zoning conflicts and monozukuri planning in Higashi Osaka, Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Nagao Kenkichi、Edgington David W.
    • 雑誌名

      Land Use Policy

      巻: 134 ページ: 106937~106937

    • DOI

      10.1016/j.landusepol.2023.106937

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] コミュニティのつながりか,社会全体の制度か? ―Think local かつ Think big な人文地理学に向けた問題提起―2023

    • 著者名/発表者名
      長尾謙吉
    • 学会等名
      人文地理学会大会特別発表
    • 招待講演
  • [学会発表] "Harnessing global value chains for regional development"の学問的位置づけと評価2023

    • 著者名/発表者名
      水野真彦
    • 学会等名
      経済地理学会大会ラウンドテーブル
  • [学会発表] Regional development: How convention theory explains economic development2023

    • 著者名/発表者名
      Kenkichi Nagao, Junya Tatemi
    • 学会等名
      L’Association francaise d'economie politique
    • 国際学会
  • [図書] 『公共経営序論』(「第6章新しい地域経済の姿を探る」p.77-92)2023

    • 著者名/発表者名
      立見淳哉(大阪公立大学公共経営学科編)
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      あるむ

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公開日: 2024-12-25  

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