研究課題/領域番号 |
21K01058
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
王 柯 神戸大学, 国際文化学研究科, 客員教授 (80283852)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ウイグル / 亡命 / 知識人 / 移民移民 / 歴史的心性 / 普遍的価値 |
研究実績の概要 |
1.2021年に新疆ウイグル自治区においてウイグル人などに対するジェノサイド、強制労働などに対して国際社会が結束して中国政府に対する非難と中国高官に対する制裁などを続き、さらに2022年2月に開催予定の北京冬季オリンピックに対する国際社会のボイコットが起こった。これらの国際社会による一連の動きに関しては、亡命ウイグル人はそのなかでいかなる役割を果たしたのか。それを把握するために亡命ウイグル人社会の動きを注意深く観察し、亡命ウイグル人が国際社会に新疆にいるウイグル人の現状を積極的に伝え、大きな抗議活動を起こしたなどの結果でもあることが分かり、それが成果を得た重要な理由は、民族独立のスローガンではなく、平等・人権・法治など国際社会に共有できる普遍的価値観の視点から発信し続けることであるという結論を得た。この分析を通じて、海外にるウイグル人はその亡命生活を通じて、政治的眼差しに大きな変動が起こったことを把握することが出来た。 2.学界には清朝のウイグル社会支配が成功したものであるという主張が存在する。このようなウイグル人の主体性を無視する見方は、ウイグル人による民族的反抗は「反乱」であるという結論と容易に結びつき、ウイグル人の歴史的心性を歪曲することになる。それを正さなければ、亡命ウイグル人社会による政治的眼差の変動に対する理解も不可能である。そのため、ウイグル人の歴史的心性について、ウイグル人による民族国家の歴史、ウイグル社会が清朝の支配下に入れられた過程、乾隆帝による新疆支配は侵略と弾圧、民族的不信による支配にすぎない事実を分析し、成果を中国の民族と国家思想に関するインタビューに反映させた。 3.中国政府による新疆における監視システムの影響を分析し、ウイグル問題について複数の著作がある反体制作家王力雄との6月に上梓する予定の共著『中国、ハイテク専制国家」』に反映させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数回にわたる新型コロナウイルスの蔓延拡大によって、本来計画していたアメリカのバージニア州のウイグル人コミュニティーにおける現地調査と資料収集は延期せざるを得なくなっている。
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今後の研究の推進方策 |
1,ウイグル・ホージャによるジハードの歴史、ヤクーブ・ベグによる「七城政権」、「新疆省」の成立などの順で、引き続きウイグル人の民族的と国家的アイデンティテ形成形成、ウイグル人の歴史的心性を調べる。 2,5月から6月にかけて、アメリカ・バージニアのウイグル人コミュニティーを中心に、現地のウイグル人と対面方式でフィールドワークを行い、亡命による普遍的価値の受容について調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
数回にわたる新型コロナウイルスの蔓延拡大によって、本来計画していたアメリカのバージニア州のウイグル人コミュニティーにおける現地調査と資料収集は延期せざるを得なくなっている。
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