本研究の独自性は、一つの社会のなかに複数の人格形成の規範があると捉える点である。本研究ではそれこそが近代化やグローバリゼーションに対する、メラネシア社会独自のリアクションと描き出すことができた。 また人格を論じる本研究は、今後、社会的要請の高い隣接分野との協働が可能である。具体的には、①ケアを扱う社会福祉学や医学・看護学の分野と、②生殖医療や脳死問題を扱う生命倫理学の分野との連携である。どちらの領域も、本研究のキーワードである「誰」という人称性の問題が問われている。本研究の成果はこうした現代社会の新たな問題とも接続し、展開することができる。
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