研究課題/領域番号 |
21K01065
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
秋保 さやか 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (40797164)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | カンボジア / 農村 / 開発 / 国家 / 農民 / NGO / ネットワーク / 関係性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、内戦終結後のカンボジアにおける農村開発の展開を捉える理論枠組みを構築することである。とりわけ、農村開発をめぐる参加と自律性という問題に焦点を当てて調査と考察を行う。この目的を達成するために、1)開発が行われる農村地域、2)NGO組織、3)政府の農業政策、4)移民も含むグローバルなクメール農民ネットワーク、という4つの領域を設けて、農村開発の展開を複眼的に描き出す試みを行う。 以上の目的を達成し、課題を明らかにするために、2021年度は(1)経済人類学、政治人類学、ポスト開発論に関する文献研究の実施、(2)予備調査の実施、(3)国際学会での口頭発表といった計画を立て研究を遂行した。 現地調査については、COVID-19感染拡大の影響により実施が困難であったため、ICTツールを用いた調査に切り替え、政府の農業政策関連資料収集ならびにインタビュー調査を実施した。インタビュー調査では、これまで調査対象としてきたタカエウ州の2つの集落の農民組合組織メンバーと首都プノンペンの農民連合メンバー、NGOスタッフ、農水省役人を対象にオンラインで聞き取りを実施した。 また、これまでの調査結果と今年度新たに得られたデータをもとに、国際会議(The Society for Applied Anthropology)にて口頭発表を行い、本研究課題に関する意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は、おおむね順調に進展している。今年度は研究枠組みに関する文献研究とICTツールを活用した予備調査を実施することができ、次年度以降の研究基盤を構築できたと考えている。特に、カンボジア国内に存在する複数の農民連合のメンバー、現地政府省庁の行政官、NGOのスタッフといったインフォーマントと関係を構築し、多様な視点から内戦後の農村開発をめぐる動きの一端を捉えることができたことは本研究課題を遂行するうえで有意義なことだった。 また、過去の研究成果と今年度の調査結果を踏まえ、国際会議で口頭報告を行い、それに対するフィードバックが得られたこと、そして海外の研究者とのネットワークが構築できたことは、来年度以降の研究を進めていくうえで、非常に有益なものである。 以上の理由から、本年度はおおむね順調に研究課題を進めることができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はCOVID-19感染拡大の影響から、ITCツールを使用した調査法に切り替えざるを得なかった。そのため、参与観察や対面でのインタビュー調査とは異なり、得られるデータの幅も相対的に狭まってしまった。来年度は、感染状況が落ち着き次第、農村部と首都プノンペンにて現地調査を実施する予定である。今後は、初年度の研究成果を踏まえ、学会や研究会にて発表し、研究者や開発実務家から広く助言を仰ぐとともに、それらをもとに研究課題を遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初年2回の現地調査や国内外の学会参加を予定していたが、COVID-19の影響によりオンラインでの実施、参加に切り替わったため、そのために確保していた経費を支出する必要がなくなった。繰り越される予算は、来年度実施予定の現地調査や学会報告のための渡航費や出張費に充当する予定である。
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