研究課題/領域番号 |
21K01077
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
古家 信平 筑波大学, 人文社会系(名誉教授), 名誉教授 (40173520)
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研究分担者 |
松本 浩一 筑波大学, 図書館情報メディア系(名誉教授), 名誉教授 (00165888)
武井 基晃 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00566359)
森田 真也 筑紫女学園大学, 文学部, 教授 (10412686)
神谷 智昭 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (90530220)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 沖縄の格差 / 琉球王府 / 墓地の移動 / 琉球国由来記 |
研究実績の概要 |
研究目的と実施計画の多くの部分を沖縄本島の現地でのフィールドワークに置いていたが、コロナ感染状況が改善されず、現地との連絡により受け入れ態勢が十分に築き得ないために、今年度は現地調査を実施せず、文献により資料整理とそれをもとにした来年度以降の現地調査の準備にあてることにした。 具体的には首里城火災に関する新聞記事の分析により、沖縄本島の中南部に見られる実感的反応と、北部及び宮古・八重山における距離感のある反応が、個人レベルにおいて顕著であり、親族・集落レベルにおいては比較的みられないことや、それらの背景について考察を深めることができた。『琉球国由来記』の「各処祭祀篇」の本島部分の記事のパソコン入力を進め、祭祀に用いられる供物、提供者と、当時の生業形態との対比を一部すすめることができ、琉球王府内部の行事との比較によって集落レベルの行事の王府内での重要性を把握できる見通しがついた。 このほか、オンラインによる研究会を通して墓地の移動と少子高齢化、過疎化の関連について、琉球国時代から分布が見られる土帝君信仰に関する地域的偏差と性格について、共同研究者の間で情報を共有するとともに、来年度の研究の分担と関連付けることができた。 来年度に現地側の意向により現地調査を対面で行うことが難しいことも考えられ、その場合には通信による調査など新たなフィールドワークの技法を探ることも考えることとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画のうち、コロナ感染状況が改善しなかったために現地の受け入れに問題が生じた結果、フィールドワークが実施できなかったことは、やむを得ぬことといえるが、新聞資料の整理分析や琉球国時代の資料を整理することができた。こうした文庫作業はあらかじめ計画の一部に組み込まれており、3年の計画のうちフィールドに行かなくて出来る作業を進め、現地調査に生かす手順を踏んでいることから、全体計画が遅れているとは言えないと考えている。また、あわせて4回のオンラインによる研究会(第1回 研究代表者の計画全体の説明と質疑、第2回 東北大学准教授越智郁乃氏の墓の移動に関する発表、第3回 研究代表者による新聞資料の分析、第4回 筑波大学院生大城沙織による土帝君の分析)を開催して、情報の共有化と問題意識の集約が図れ、この点においては順調な進展が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度のコロナ感染状況に比べると、今後は改善される見込みであるので、これまでに行った事前の作業によって得られた知見を十分に生かしながら、担当者がそれぞれのフィールドにおいて現地調査を実施し、研究課題の究明にあたることとしたい。特に沖縄本島中南部は人口密度が高く、現地調査に当たっては受け入れ側のコロナ感染に対する警戒が強かったので、対応に気をつけなければならない。万一、対面の調査が難しければ、それに代わる通信による調査などを実施し、それによってフィールドワークの新たな形態を模索することも考えたい。なお、研究会は引き続き行い、研究分担者の成果の発表と外部からの講師招聘を順次実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画では沖縄本島におけるフィールドワークが企画されており、この部分の比重が大きかったが、コロナ感染の収束が見通せず、現地とのやり取りにおいて対面の調査の実施が難しいことが分かったため、その部分を次年度に繰り越す判断とした。そのためこれに関わる旅費と資料収集整理に関わる人件費が持ち越しとなった。次年度はおそらくフィールドワークは実施できるものと考えており、調査期間を研究計画に記したものより若干長期に設定できるものと考えている。
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