研究課題/領域番号 |
21K01077
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
古家 信平 筑波大学, 人文社会系(名誉教授), 名誉教授 (40173520)
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研究分担者 |
松本 浩一 筑波大学, 図書館情報メディア系(名誉教授), 名誉教授 (00165888)
武井 基晃 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00566359)
森田 真也 筑紫女学園大学, 文学部, 教授 (10412686)
神谷 智昭 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (90530220)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 『琉球国由来記』 / 『琉球国旧記』 / 女性神役 / 門中 |
研究実績の概要 |
研究課題の一つとしていた『琉球国由来記』の分析については、当時の中国で編纂されていた地方誌の構成とかなり異なっており、内容は礼や祭祀を中心にしている点で特徴があり、人口や税収を把握するためのデータを欠いていることが明らかとなった。巻1、巻5の記述と巻12から巻15までの記述の関連については、『琉球国旧記』との対照を進めた。さらに、沖縄本島南部、中部、北部の数間切の記述を拝所の構成、供物の負担にポイントを置いて比較検討した。 昨年度に引き続き『琉球国由来記』の検討結果を反映させながら、中南部の集落において、聖域、司祭者、儀礼について実地調査を行った。北部では集落に広く普及している公的祭祀場であるアサギの南限が旧コザ市に見られ、6本柱であることや屋根が高いという変化はあるが、神役による祭祀が行われていること、その地域が地質学的に北部と中南部の境界に当たることが注目された。一方、その地域では聖域の周辺に門中の建造物が配置されていることが、昨年度に明らかになった糸満市域において公的司祭者が消滅した後に門中によって代替される状況を示唆する。まさに、北部と中南部の混在するありさまを見ることができた。 昨年度から今年度にかけて7回の現地調査が行われ、研究課題とした北部と中南部の区別に関して現状を把握することができた。当初は調査対象としていなかった集落レベルの芸能についても十五夜などでの公開状況を見ることができた。祭祀場の名称などで北部と中南部で共通するものの中には実態はかなり異なることもあり、『琉球国由来記』の記述を検討する際にも留意する必要があることも分かった。これまで民俗学において北部地域と与論、沖永良部との関連について指摘されてきた点にも、配慮する必要が感じられた。
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