研究課題/領域番号 |
21K01078
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
吉野 晃 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (60230786)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ミエン / 歌 / 漢語 / ミエン口語 / ミエン歌謡語 / 儀礼テクスト / 語彙の素性 |
研究実績の概要 |
2022年度は、前半は依然続いていたコロナ禍により、海外の現地調査が不可能であった。そのため、旧来収集した歌詞や儀礼テクストを対象として、歌詞や儀礼テクストの漢字の発音、意味および語彙の素性(漢語語彙、ミエン語化した漢語語彙、ミエン歌謡語語彙、ミエン口語語彙)を分析した。歌詞の分析は昨年度から継続して行ってきたものであるが、これに加え、儀礼のマイナーなテクストを分析したところ、儀礼テクストではあるが、歌謡語が混入していたことが明らかになった。儀礼テクストは一般には儀礼語あるいは漢語雲南方言、ミエン口語で読まれるとされてきたが、その他のテクストを見てみると、やはり漢字の読みに歌謡語の読みが入っていた。これにより、儀礼テクストにおける歌謡語浸透の研究の必要性が確認された。7月にはタイ・日本の入国の際の水際対策が緩和されるとの見通しに基づき、現地情報の収集のためチエンマイへ行ったが、PCR検査で陽性となり、チエンマイ市内に足止めとなって、現地調査には行けなかった。 年度の後半には、日本およびタイの水際対策が緩和され、タイへ調査に出かけることが可能となった。そのため、11月以降、(1)新たな歌詞の収集、(2)歌を使う儀礼の観察記録、(3)以前収集した歌詞の発音と意味の確認、(4)唱歌の記録といった作業を、現地調査の形で行った。11月から12月にかけては、ナーン県のミエン村落で(1)新たな歌詞の収集と、(2)歌を使う儀礼の観察記録を行った。1月から2月にかけては、チエンラーイ県のミエン村落で(2)歌を使う儀礼の観察記録、ナーン県でミエンの文化祭における(4)唱歌の記録を行った。3月にはパヤオ県のミエン村落で(3)歌詞の発音と意味の確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度前半は、依然続いていた新型コロナウィルスの蔓延により日本及びタイの水際対策が緩和されず、上に述べたように、7月に現地情報収集のためチエンマイへ行ったが、現地調査へは行けなかった。それゆえ、新たな歌詞や歌謡に関する資料の収拾ができなかった。年度後半に水際対策が緩和されたので、ようやく現地調査を行うことができた。しかし、年度前半の調査のブランクは大きく、当初計画した資料収集と分析が半分以上果たせなかった。
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今後の研究の推進方策 |
タイにおけるコロナ対策が緩和されたので、コロナ禍による計画の遅れを取り戻すべく、タイにおける現地調査を積極的に行う。すでに新たな歌詞の収集もできたので、そうした収集済みの資料の分析も併せて行ってゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度前半はタイにおける現地調査を執行できなかった。そのため、旅費を十分に支出することが出来ず、次年度使用額が生じてしまった。2023年度においては、タイ渡航が可能となったので、現地調査を行い旅費を支出する予定である。
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