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2022 年度 実施状況報告書

COVID-19という常在リスクのある新しい生活様式の受容と適応に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K01093
研究機関静岡大学

研究代表者

鈴木 清史  静岡大学, 防災総合センター, 客員教授 (80196831)

研究分担者 重松 美加  国立感染症研究所, 感染症疫学センター, 主任研究官 (20299598)
西垣 悦代  関西医科大学, 医学部, 教授 (70156058)
吉川 肇子  慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (70214830)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードCOVID-19 / マスク / 着用推進 / 啓発ポスター / 利他主義 / 自己効力感
研究実績の概要

2022年度は新型コロナ感染の波が続いていた。そのため研究班での研究打ち合わせは基本的にインターネットを通したリモートでの面談を通して実施し、必要に応じて電子メールや個別のリモート面談などで連絡打ち合わせを行った。各自がそれぞれのテーマで研究活動を展開しており、この方法で支障はなかったと考えられる。
代表者の鈴木は研究方法として質的調査を採用しており、新型コロナによるパンデミック状況での生活にかかわる情報(受容や適応)収集はインターネットを介しての面談で行ってきた。これと並行して、20世紀初頭に発生したインフルエンザ・パンデミック時における我が国や西欧諸国で展開された感染予防啓発・啓蒙運動に着目して、その中から特にマスク着用推進に関わる宣伝活動に関係する文献資料を調べ、今回の新型コロナでの啓発・啓蒙活動と比較した。20世紀初頭の活動に関しては入手できた資料は主に日本とアメリカ合衆国になっているが、その時期の両国での啓蒙活動は「脅威アピール」的な傾向が明らかであった。それに対して21世紀の活動は、マスク着用が自他の利益となることが強調されるような、いわるゆる「利他主義」「自己効力」の要素を強調する傾向があることがわかった。ただし、日本ではマスクの着用は世界的にも類を見ないほど日常的な生活道具のごとく定着しており、この点での啓蒙活動はほとんどなされてなかったことも特徴であった。これらの分析は、英語論文にして投稿・発表した。
社会心理学分野での研究を展開している吉川、西垣さらに感染症研究を専門とする重松は感染予防(感染回避)のための行動を促すための啓発ゲーム作成を最終目標として、事前データ収集のためのパイロット・スタディを実施し、その分析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の評価を行ったのは以下の理由からである。1つめは、COVID-19の流行が続いている中でも、リモート面談ながら研究班内での情報交換が行えていることである。2つめは、同じくリモートではあるが研究協力者との面談を通してコロナ禍での生活様式に関しての情報を提供してもらえていることである。3つめとして、文献を通して過去のパンデミック時に見られた感染予防のための啓発・啓蒙活動に関わる資料を分析し、それらを今回の状況と比較研究し、欧文論文として発表したことがある。加えて、研究班では、感染予防・回避のための行動とそれにそくした生活様式を自ら考える手だてとなるゲーム作成のための資料収集として、数度にわたりアンケート調査を実施し、それに基づいたパイロット・スタディを行うことができている。これらのことから、本研究の課題遂行については、おおむね順調に進展していると評価している。

今後の研究の推進方策

本研究の課題は、COVID-19がもたらした新しい生活様式の受容と適用の研究である。2022年度は、新型コロナ感染の拡大と縮小が繰り返されており、年初に予定していた対面での資料収集や国内外での移動活動も容易ではなかった。2023年に入って新型コロナによってもたらされた規制も変更になりつつあるため、改めて対面での資料収集の実施を計画し、COVID-19というリスクのある生活環境への、国内外での比較検討を視野に入れて人びとの受容と適応のあり方を探る予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染の拡大が波状的に発生していたことで予定してた調査出張を実施できなかったため交通費の支出が抑えられたことが主な理由である。2023年度に新型コロナの分類が変更されるのにともない、活動範囲も広がると考えられる。そのため当初計画していた活動を実施する予定である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (14件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 10件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Encouraging the Use of Masks During Pandemics: What posters said.docx2023

    • 著者名/発表者名
      Seiji Suzuki
    • 雑誌名

      Advance Preprint Comminity

      巻: ー ページ: ー

    • DOI

      10.31124/advance.22083815.v1

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] パンデミック下でのマスク着用促進ポスターの研究2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木清史
    • 雑誌名

      アジア研究

      巻: 18 ページ: 3-19

    • DOI

      10.14945/00029392

  • [雑誌論文] コロナ禍における医学部新入生のメンタルヘルス:2020年~2022年の推移2023

    • 著者名/発表者名
      西垣悦代・藤村あきほ
    • 雑誌名

      学校安全推進センター紀要

      巻: 3 ページ: 12-24

  • [雑誌論文] Why is Serious Gaming Important? Let’s Have a Chat!2023

    • 著者名/発表者名
      Toshiko Kikkawa, Shigeru Haga, Masayoshi Shigemori , Masaki Nakamura, Momoka Suzuki
    • 雑誌名

      Simulation & Gaming

      巻: Vol. 54, Issue 2 ページ: 147-149

    • DOI

      10.1177/104687812311526

    • 査読あり
  • [雑誌論文] When do games end?2023

    • 著者名/発表者名
      Schijven, M. P. & Kikkawa, T.
    • 雑誌名

      Simulation & Gaming

      巻: Vol.54.Issue 1 ページ: 3-4

    • DOI

      10.1177/104687812211395

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Is there any (artificial) intelligence in gaming?2022

    • 著者名/発表者名
      Schijven, M. P. & Kikkawa, T
    • 雑誌名

      Simulation & Gaming

      巻: Vol.53 Issue 4 ページ: 315-316

    • DOI

      10.1177/10468781221101685

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Games for Peace and Welfare2022

    • 著者名/発表者名
      Schijven, M. P. & Kikkawa, T.
    • 雑誌名

      Simulation & Gaming

      巻: Vol.53、Issue3 ページ: 219-220

    • DOI

      10.1177/10468781221089058

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Diversity games2022

    • 著者名/発表者名
      Schijven, M. P. & Kikkawa, T
    • 雑誌名

      Simulation & Gaming

      巻: Vol.53 Issue2 ページ: 95-96

    • DOI

      10.1177/10468781221077325

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Games We Must Play: Cooperative, Not Competitive2022

    • 著者名/発表者名
      Marlies P. Schijven and Toshiko Kikkawa
    • 雑誌名

      Simulation & Gaming

      巻: Vol.53 Issue1 ページ: 3-5

    • DOI

      10.1177/10468781211065310

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impact of Refutational Two-Sided Messages on Attitudes Toward Novel Vaccines Against Emerging Infectious Diseases During the COVID-19 Pandemic2022

    • 著者名/発表者名
      Hideo Okuno, Satoru Arai, Motoi Suzuki, Toshiko Kikkawa
    • 雑誌名

      Frontiers in public health

      巻: 10 ページ: 775486-775486

    • DOI

      10.3389/fpubh.2022.775486

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Subtle manipulation in games2022

    • 著者名/発表者名
      Kikkawa, T.
    • 雑誌名

      Gaming as a Cultural Commons: Risks, Challenges, and Opportunities

      巻: ー ページ: 171-183

    • DOI

      10.1007/978-981-19-0348-9_10

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gaming Simulation - Terminology and Fundamentals2022

    • 著者名/発表者名
      Kriz, C. K., Sugiura, J. and Kikkawa, T
    • 雑誌名

      Gaming as a Cultural Commons: Risks, Challenges, and Opportunities

      巻: ー ページ: 3-21

    • DOI

      10.1007/978-981-19-0348-9_1

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The current status of Japanese game players and its impact on the society2022

    • 著者名/発表者名
      Matsui, H., Sugiura, J. and Kikkawa, T.
    • 雑誌名

      Gaming as a Cultural Commons: Risks, Challenges, and Opportunities

      巻: ー ページ: 73-89

    • DOI

      10.1007/978-981-19-0348-9_5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Manipulation through gamification and gaming2022

    • 著者名/発表者名
      Willy C.K., Kikkawa, T. and Sugiura, J
    • 雑誌名

      Gaming as a Cultural Commons: Risks, Challenges, and Opportunities

      巻: ー ページ: 185-199

    • DOI

      10.1007/978-981-19-0348-9_11

  • [学会発表] 促進焦点によるレジリエントな問題解決2022

    • 著者名/発表者名
      重森雅嘉・芳賀繁・吉川肇子
    • 学会等名
      日本心理学会第86回大会発表論文集
  • [図書] Gaming as a Cultural Commons: Risks, Challenges, and Opportunities2022

    • 著者名/発表者名
      Kikkawa, T., Kriz, W., Sugiura, J
    • 総ページ数
      212
    • 出版者
      Springer Nature
    • ISBN
      978-981-19-0348-9

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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