研究実績の概要 |
2023年度は、裁判員制度を受任した経験のある弁護士から、裁判員制度を被告人の権利の観点からどのように評価できるか、仮に被告人の選択制があるとすれば、裁判員制度を選択することを勧めるのか等を中心に、裁判員制度の評価について話を伺った。2023年度は、埼玉弁護士会、徳島弁護士会、島根県弁護士会、秋田弁護士会、沖縄弁護士会に所属する弁護士の方々に話を伺った。また、同時に、今後弁護士に対して調査票を使用して行う予定の調査について、その調査項目の設定の仕方についても助言を頂いた。 また、2023年度はPeter Rush博士(メルボルン大学ロースクール)による「オーストラリアにおける陪審裁判報道をめぐる議論:日本の刑事司法への示唆」と題する公開講演会を対面とオンラインのハイブリッド形式で開催した(2023年10月19日)。オーストラリアにおいては被告人の公平な裁判を受ける権利を保障するために、裁判についての報道を禁止する「報道禁止命令」を裁判所が出すことができるが、この制度の是非について論じて頂いた。同国のこの制度は、本研究においても比較研究の対象としていたものである。 また、これまでの研究成果の公表として、Mari Hirayama「Criminal Justice in Japan-Low Crime Rate, Lengthy Detention, Limited Access to Defense Lawyers, Huge Discretion of Prosecutors, High Conviction Rate, Hostage Justice and … More?」(2023年11月9日 於Judicial Symposium Managing the Trial Court Bench: Comparative Perspectives of the Japan and U.S. Justice Systems)、平山真理「「裁判員裁判と性犯罪~最近の性犯罪裁判について考える」市民感覚と法曹の「ズレ」からの考察」(2023年11月25日 於埼玉弁護士会裁判員制度問題検討特別委員会市民集会)等で報告を行った。
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