研究課題/領域番号 |
21K01105
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
神野 潔 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 教授 (40409272)
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研究分担者 |
高橋 周 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (10339731)
岡崎 まゆみ 立正大学, 法学部, 准教授 (60724474)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 法学史 / ロースクール / 留学 / 思想形成 / キャリア |
研究実績の概要 |
本研究では、A:明治期において日本からアメリカロースクールに留学した人物を網羅的に検出し、彼らの基礎データ(留学時の年齢、出身の地域や学校、それまでのキャリア等)を収集・整理すること、B:彼らが留学先においてどのような講義を受けたか、どのような入学試験を受けたかなどの具体的な内容を調査・分析すること、C:彼らが帰国後にどのようなキャリアを形成し、留学からどのよう思想的影響を受けたかを調査・分析すること、の大きく3つを進めることを予定していた。 2021年度は、これらのうち特にAについて、ウェブ上でデジタル化されていて閲覧が可能なアメリカの各大学が所蔵する史料(Catalogue and Announcementsと題される要覧など)を用いて、留学者の検出を行った。また、国立国会図書館が所蔵する史料や、東京都内の各大学(慶應義塾大学や早稲田大学など)が所蔵する史料、古書等の購入によって収集した史料も用いて、上記基礎データの収集・整理にも着手した(この作業とあわせて、Cも進めている)。 これらA・Cの研究は、研究代表者・研究分担者それぞれの専門である近代日本法制史学・近代日本経済史学の成果と、有機的に関連づけることを意識して進めている。また、各自の調査について進捗を報告する機会として、およそ3ヶ月に1度の頻度で、オンラインでの研究会を開催した(なお、2021年度は研究代表者・研究分担者3人による”閉じた”研究会であったが、2022年度からは、アメリカロースクール留学者を直接的・間接的に扱った研究発表を行う”開かれた”研究会として、報告者を招くことも計画している)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度には、ウェブサイト(データベース)を用いた国内での調査と合わせて、研究代表者・研究分担者それぞれが、地方の大学図書館や文書館などで5日間程度で史料調査・収集を行うことを計画していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の爆発的な感染拡大と、それによる緊急事態宣言発出などの影響を受けて、図書館・文書館の利用および出張に制限がかかる状況が長く続き、実現することができなかった。 ウェブ上で行うことのできる史料収集・分析や、出張を伴わない史料調査(国立国会図書館や東京都内の大学などにおける調査)についてはある程度進めることはできたが、全体としては本来予定していたよりも遅れが生じている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に収集した史料を用いた研究を継続するとともに、新型コロナウイルス感染症の影響もやや落ち着きが見られることから、2022年度は、国内外での出張調査を行なっていきたい。国内の調査において行うのは、A:明治期におけるアメリカロースクール留学者を網羅的に検出とその基礎データの収集・整理、C:彼らの帰国後のキャリア・著作の調査・分析、であり、海外調査(10日間程度を予定)で進めるのは、B:彼らの、留学先での講義の内容・入学試験・学位論文などの調査・分析である。特に重要となるのは海外調査で、アメリカの複数の大学図書館(総合図書館、ロースクール図書館)が所蔵する講義録・入学試験・学位論文の収集を進める。なお、これまでの研究計画には「なぜその留学先を選んだのか」という観点が不足していたことが2021年度の研究会において指摘されたので、この点についても重視して調査を進めていきたい。 また、21年度は研究代表者・研究分担者3人で行なっていた研究会を発展させて、22年度からは、アメリカロースクール留学者を直接的・間接的に扱った研究発表を行う”開かれた”研究会とし、報告者を招くこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来であれば2021年度に実施する予定であった地方出張を伴う史料調査を、一切行うことができなかったため、予定していた旅費を使用しないこととなった。また、研究会も今年度は報告者を招かず研究代表者・研究分担者のみで開催したため、謝金も使用しなかった。 これらは2022年度に繰り越すこととし、2022年度における国内史料調査の旅費、研究会での謝金として使用することを計画している。
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