研究課題/領域番号 |
21K01111
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 団 京都大学, 法学研究科, 准教授 (30612387)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ザクセン=マクデブルク法 / ザクセンシュピーゲル / マクデブルク法 / 中・東欧法史 / 中世都市法 / 学識法 |
研究実績の概要 |
今年度は、東・中欧にひろく伝播したザクセン=マクデブルク法の基本史料たる法書ザクセンシュピーゲルの検討を行った。そのさい、13世紀前半に成立したとされる同法書を、つづく時代の人々がどのように受けとめていたのか、という点が中心的検討課題となった。 中世から近世へと移行する時期は、学識法の普及の時代とも重なるが、そうした時代背景を踏まえ、当時の学問や実務がこの法書にどう向き合ったのか、という点について検討を行った。具体的には、近世になると、時代に必ずしも時代にあったものではなくなった同法書を廃し、新しい法を創ろうという声があがる一方、手を加えつつ引き続き同法書を運用していこうという声もあった。とくに後者については、同法書の言葉を時代にあったものに改め、同法書に付されていた註釈を見直し、さらには索引を充実させることで総合的な実用性の底上げをはかるという作品が登場し、一定の成功をおさめた。その一方で、同法書に欠けているとされていた「体系性」を付与することで問題を克服する試みも登場した。同法書を巡る近世の学問・実務の動向を検討し、結果の一部は論文の形で公にした。 こうした作業と並んで、昨年度から引き続き、ザクセン=マクデブルク法研究が盛んにおこなわれた19世紀末から20世紀前半にかかる時期の法史学史について検討を深めた。その成果については、国内での研究会報告とならび、国際会議での報告も行った。 この他、中・東欧圏の研究文献・資料などの蒐集も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題にとっては中・東欧地域での現地調査が必要不可欠であるが、新型コロナウィルス感染症の状況や、またウクライナ情勢との関係で、渡航を控えざるを得なくなった。このため必要な現地調査ができず研究計画の大幅な遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
渡航調査については、情勢を見極めつつ計画を立てる予定である。さしあたり、文献・資料を中心とした検討が中心となる。近世において、マクデブルク法とザクセンシュピーゲルが、ローマ法や教会法といった学識法の影響を受けつつ、どのように各地で変容しつつ伝播していったのかについて、引き続き検討を加えていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた海外での調査が不可能となったため。これについては今年度以降に実施可能かどうか状況を見極めていく予定である。
|