研究課題/領域番号 |
21K01115
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
橋場 典子 成蹊大学, 法学部, 助教 (90733098)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 司法アクセス |
研究実績の概要 |
法システムの存在と当事者による法システムの活用との間には大きなギャップがある。司法アクセスの拡充のために様々な施策が展開されているが、脆弱性を持つ人々が実際の場面で法システムへアクセスしようとするとき、そこにはなお大きな壁が存在している。そもそも、法的トラブルに直面していること自体に気が付かない場合もあるし、気付いていても法的救済や「支援」を拒絶する場合もあり得る。このような課題意識のもと、本研究では法システム活用に際して重要となってくるであろう心理的側面に焦点を当て、システムが原理的に内包する排除性の克服がいかにして可能かについて、実証的・理論的に解明することを目指すものである。 助成初年度の2021年度は、システムが内包する排除性のジレンマの克服に成功していると思われる事例に聞き取り調査を実施した。具体的には、システムからの排除及び疎外がどのような場面で観察されているのかについて、法的トラブルへの気付き自体はあっても法システムへの接近を避けている場合(弱い法拒絶)に焦点を当て聴き取り調査を実施した。コロナ禍により調査の調整が予定通りには進まず、十分な調査を重ねることが出来なかったが、次年度以降の調査対象の拡がりは獲得できた。対面での聴き取り調査が困難を極めた分、理論的検討として文献調査も並行して実施した。 初年度の一連の研究活動から得られた成果としては、初年度に対象とした弱い法拒絶がある場合以外、すなわち法的ニーズの認識自体に困難が生じる場合にも焦点を当てる必要があることが改めて析出され、次年度以降に取り組むべき課題が明確になった点が挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度においては当初予定していた国内調査(対面での聴き取り調査)がコロナ禍により予定通り進まなかった。一方文献調査はある程度進めることが出来た。そのため「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、初年度で析出された論点を中心に実証的研究と理論的検討を行う。聴き取り対象の特殊性上、聴き取り調査は極力対面で実施したい。しかしながら、場合によってはオンライン面接に切り替えることも視野に入れ、研究の順調な推進に努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度はコロナ禍により当初予定していた調査が実施できなかったため。次年度は調査の再開を目指し研究計画を進める。
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