研究課題/領域番号 |
21K01122
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
藤岡 祐治 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (40632237)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 租税法 / 貨幣 / 支払手段 / 決済手段 / 租税の景気調整機能 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、近年における暗号資産の登場をはじめとした支払及び決済手段の急速な展開やプラットフォーム企業の出現に見られるような経済の変化が、租税法のあり方、すなわち租税の役割や意義に変化をもたらすのではないかという問題意識に基づくものである。所得課税などの現行の租税制度は貨幣制度を前提としているが、仮にこの貨幣がこれまで想定していたものと変わってくるならば、貨幣制度の存在を前提とする租税法のあり方は見直しを迫られることになる。2021年度は、特にコンピュータサイエンスの研究成果がもたらす社会変化に着目した。そして、コンピュータサイエンスに関連する技術の進展によってサイバー空間とフィジカル空間が一体化し、取引記録に基づいた既存の貨幣によらない資源配分を実現する可能性があり、そのような場合における所得課税のあり方を検討した。また、仮に支払及び決済手段の変化が金融政策のあり方にも影響を及ぼすならば、租税は景気調整の役割を果たすことが期待されているため、租税法のあり方についても再検討が必要となる。2021年度は、租税の景気調整機能が租税政策においてどのように位置付けられてきたかを明らかにすべく、分析を進めた。また、租税の景気調整機能が実際の立法にどのような影響を与えてきたかについて、米国の議論を参照しつつ分析を進めた。さらに、現行法における租税法の規定が景気変動にどのような影響を与えているかについて検討を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度中に予定をしていた論文の公刊ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画で予定していた作業を引き続き進める。支払及び決済手段の変化によって生じ得る解釈論や景気平準化という観点からみた租税法のあり方について検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた物品の納入が年度内に間に合わなかったためである。次年度の旅費と物品費として使用する予定である。
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