研究課題/領域番号 |
21K01132
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研究機関 | 白鴎大学 |
研究代表者 |
清水 潤 白鴎大学, 法学部, 准教授 (40611455)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | コモン・ロー / アメリカ合衆国憲法 / 法制史 / 法思想史 |
研究実績の概要 |
昨年度は、これまでの研究を『アメリカ憲法のコモン・ロー的基層』としてまとめて日本評論社から出版した。これを受け、当年度では、英語論文を1本、日本語論文を1本出版したほか、研究会報告を4回行った。アメリカ法史におけるコモン・ローと憲法の問題を探究するという研究主題を継続的に行うことができている状況である。 具体的には、『アメリカ憲法のコモン・ロー的基層』では、19世紀におけるアメリカ合衆国憲法で保障された権利の内実と、コモン・ローで保障された権利の内実の対応関係について検討した。本研究は、基礎的な憲法史研究ではあるが、日本の憲法学にとっても示唆するところは大きいと考えている。憲法上の権利をどのように観念するかは、私人間効力論や憲法民法関係論などの重要な問題の基礎となっているからである。本研究は、アメリカ憲法史において、憲法上の権利の観念が主として私法を内容とするコモン・ローに由来するものであったことを明らかにしたことで、憲法学の人権総論にも一定の示唆を提供している。 The Historical Origins of the Horizontal Effect Problem in the US and Japanでは、私人間効力論が、日米の憲法学上の論点として浮上した歴史的起源を検討した。それによれば、アメリカにおいて私人間効力論が論点として意識されるようになったのは、憲法上の権利と私法上の権利の内容が乖離するようになった20世紀以降である。また、日本国憲法制定当初は、憲法は全方位的な価値を定めた法として理解されており、保守政権の長期化によって、憲法を公権力を拘束する法として純化して理解する学説が一般化したことが、私人間効力論の台頭に一定の影響を与えていることを論じた。 そのほか、日本語で書評論文を公表したほか、合評会にて拙著へのコメントへ応答し、また現在進行中の研究課題について報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を継続し、出版や研究報告を大きなブランクなく行うことができているため
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今後の研究の推進方策 |
従来通り、一次文献および二次文献を広く渉猟し、論文にまとめ、それを定期的に公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の継続的な影響により、国内外の学会が中止またはオンライン化し、出張費の計上が不要になったため。
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