研究課題/領域番号 |
21K01134
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
奥村 公輔 成城大学, 法学部, 教授 (40551495)
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研究分担者 |
伊藤 洋一 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (50201934)
東 史彦 上智大学, 法学部, 准教授 (90813759)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 国内法秩序形成 / フランス法 / ベルギー法 / イタリア法 / EU法 / 欧州人権法 / ヨーロッパ法 |
研究実績の概要 |
初年度である令和3年度では、本研究課題の比較検討対象国であるフランス、ベルギー及びイタリアのうち、従来研究が手薄であるイタリア法を中心に代表者及び分担者で検討を行い、全体での知識共有を行うことを中心に研究を行ってきた。 令和3年度には計6回の研究会を行った。まず、第1回研究会(4月24日)では研究の方向性についての確認を行い、第2回研究会(7月3日)では分担者の東が「イタリア法の概要」と題する報告を行い、第3回研究会(8月28日)では代表者の奥村が「イタリア国務院の概要」と題する報告及び東が「イタリアの裁判制度」と題する報告をそれぞれ行い、第4回研究会(10月16日)では分担者の伊藤が「ヨーロッパ法における「裁判官対話」――French Data Network事件(2021.4.21)を素材に」と題する報告を行い、第5回研究会(12月4日)では奥村が「イタリア国務院諮問部の概要」と題する報告を行い、第6回研究会(3月26日)では奥村が「イタリアの国務院制度と政府の憲法解釈への影響」と題する報告及び東が「EU司法裁判所判決C-746/18に対するイタリア司法・立法の対応」と題する報告をそれぞれ行った。このような研究会を通じて、代表者及び分担者は、従来から研究蓄積のあるフランス法とヨーロッパ法との関に関する分析は無論、イタリア法とヨーロッパ法との関係の分析をも深めることができた。 代表者及び分担者は、このような研究会を通じて、また、自身の研究を通じてそれぞれ研究成果を出すことができた(研究成果の欄を参照)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、フランス、ベルギー及びイタリアの国内法秩序形成にヨーロッパ法がいかに影響を与えているかを実証的に検討するものであるが、令和3年度においては、代表者の奥村及び分担者の伊藤は、これまでのフランス法に関する研究を進めるとともに、イタリア法を専門とする分担者の東の協力を仰ぎながら3名でイタリア法の研究に主眼を置いて検討を行ってきた。その意味で、フランス法及びフランス国内法秩序形成におけるヨーロッパ法の影響に関する研究だけでなく、イタリア法そのものやイタリア国内法秩序形成におけるヨーロッパ法の影響に関する研究も進めることができており、本研究課題はおおむね順調に進んでいると言ってよい。
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今後の研究の推進方策 |
2年目である令和4年度は、令和3年度に行ってきたフランス法及びイタリア法に関する研究をさらに深めていく予定である。 ただし、代表者及び分担者それぞれがベルギーに関する研究を進めてはいるものの、初年度である令和3年度の研究会においてはベルギーを題材とする研究報告が行われなかったことから、令和4年度の研究会においてはベルギーを扱った報告を実施し、ベルギー法及びベルギー国内法秩序形成におけるヨーロッパ法の影響に関する知識共有を代表者及び分担者の間で深めていくことを心掛ける。 また、令和3年度においては、新型コロナウィルスのまん延によりフランス、ベルギー、イタリア及びヨーロッパの諸機関へのインタビューを実施することができなかったが、令和4年度には、これらの機関へのインタビューを実施する予定である。ただし、新型コロナウィルスのまん延状況を踏まえ、現地には赴かず、Zoom等を利用した電子会議の形でインタビューを実施する可能性もある。インタビューの内容は、先方の許可を得た上で、文字起こし及びその翻訳をして、代表者及び分担者の所属する大学の紀要等において「研究ノート」又は「資料」の形で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度においては、新型コロナウィルスのまん延により、本科研費の研究会がオンライン化し、また、フランス、ベルギー、イタリア及びヨーロッパの諸機関へのインタビューの実施が延期されたため、次年度使用額が大幅に生じている。 令和4年度の使用計画としては、特に国外旅費については上記の諸機関へのインタビューが実施できるように検討するが、新型コロナウィルスのまん延状況によってその実施が困難な場合には、代替手段(電子解放の方法など)により調査等を行うとともに、研究会の開催回数を増やし、ゲストスピーカーを招いて知識の提供をしてもらうことを検討する。
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