研究課題/領域番号 |
21K01142
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
白水 隆 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (70635036)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 権利の救済 |
研究実績の概要 |
初年度である令和3年度は、婚姻の自由に関する日本、アメリカ合衆国、カナダの三カ国の判例や学説の分析、整理に努め、各国の状況を理解する上で、一定の進展があった。例えば、日本国憲法は、婚姻に関する規定を憲法上もうけており、それについての最高裁判決が見られることから、一義的ではあるものの、その意味内容は認識可能であるが、同性婚についての裁判例は下級審判決一つのみであり、また、同判決では24条の具体的な保障範囲について言及がなされなかったため、今後、上級審で24条についてどのような説示がなされるのか、また、同性婚以外の婚姻形態への制約が問題となった場合に射程が及ぶのかなど不透明な点は多い。 他方で、憲法上に婚姻の規定を有していない合衆国憲法やカナダ憲法では、婚姻の自由を基本的権利として構成する方法やそのような権利構成をせずに平等権など別の角度からアプローチをして、事案の解決に努めていることが確認された。これらについても、どこまでその射程が及ぶのか、また、それによって婚姻の自由の明確な保障範囲が確定しているとまでは言えないことから、引き続き、検討を加える必要がある。 加えて、本研究を進める上で、婚姻の自由の内容の分析と共に、それが侵害された際の救済方法についても同時に分析すべきではないかとの思いに至った。これは特に、アメリカ合衆国やカナダのようなコモンローの国において、権利の侵害と共に救済(remedy)が論じられていることを踏まえて、婚姻の自由のように、その内容がはっきりと定まっていない権利の内実を探る上で、もしもそれが侵害された場合にどのような救済が可能であるか、といった視点から考察する必要性を感じた。そこで、初年度は、本研究課題の憲法上の権利が侵害された場合の救済方法としてどのような手段を採り得るのかという点にも焦点を当て研究を進めた。そして、その成果を論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のとおり、本研究課題の遂行のため、当初計画していないアプローチ、すなわち、権利の救済の観点から検討するアプローチを加えたため、当初計画していた、婚姻の形態ごとに焦点を当てた個別具体的な分析はそこまで進んでいない。他方で、婚姻の自由全般についての各国の議論の状況については研究が進み、現在、論文の執筆に着手していることから、進捗状況としては、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、現在執筆中の論文を発表することに注力し、その上で、新たに生じた課題については、引き続き、解決のためのアプローチを模索しながら研究を進める。 次に、今年度は、ヒアリングを含めた、海外での調査を実施する予定であり、専門家との議論等を通じて、婚姻の自由、そして、様々な婚姻形態の制約の憲法適合性の更なる個別具体的な検討を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費については計画的に使用したが、当初予定していた海外出張が新型コロナウイルスの影響で実施できなかったため、次年度へ繰り越すこととなった。
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