研究課題/領域番号 |
21K01151
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
楠 茂樹 上智大学, 法学部, 教授 (70324598)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 公共調達 / 官民連携 / SDGs / CSR / 地域創生 / 競争入札 |
研究実績の概要 |
2021年度においては主として研究テーマに係る文献調査、官公庁関係者、民間業者に対するヒアリング調査、意見交換を行なった。具体的には、(1)SDGs対応を意識した「持続可能性」重視の公共調達(Goal 12.7)における官民連携のあり方について、そのベースとなる国内の会計法、地方自治法、その他公共工事関連立法の文献精読、(2)(1)に関連した海外の諸文献の精読(CSRやBusiness Ethics等も含む)、(3)地域創生を中心とした地方公共団体のSDGs活動の実態調査(ヒアリング等)、例えば、日南市・飫肥伝統的建造物群保存地区における歴史的建造物利活用事業(公共契約)の調査フォローアップ、(4)(3)に係る民間事業者へのコンタクト、などである。他大学において展開されている関連する研究組織への参画も開始した。 その成果の一部は、研究代表者が所属する大学で展開しているSDGsに係る連続講義、シンポジウムで報告(講演)するなどして公表している。なお、2021年度中に、本研究テーマに係る論文が一報公表されている(S Kusunoki, Public and Private Partnerships in Relation to Public Contracts and Procurement: Japan’s Current Issues, KLRI Journal of Law and Legislation, 11 (1), pp. 97-133 (2021))。なお、現在公共工事分野に係る官民連携COVID-19を意識した緊急時における公共調達の官民連携をテーマとした論考を作成中で、和文、英文での公表を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
継続するコロナ禍でフィールドワークに少なくない支障が伴ったが、文献調査については特に国内の問題状況については相当程度クリアにできたし、また比較法的視点についても検討課題がある程度明確化された。海外へのアクセスは厳しい状況が続き、いまだに確定的なプランが立たないが、国内においては日南市との情報交換を通じて、また関係者とのネットワークを起点に、多くの参考となるケースに接することができた。初年度ではあるが、多少の成果公表もかなった。国内のフィールドワークを数多くこなしつつ、行政のみならず政治の分野に対するアプローチ、アクセスの必要性も認識するようになり、そのための準備作業が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度においては、前年度の作業を踏まえて米欧の調査を強化し、比較法的アプローチを先鋭化させていく。特に、SDGs対応と官民連携の公共調達の展開に係るEUの動きについては文献、実務ケース等数多く存在し、これらを効率よく整理し、米国の調査も踏まえつつ、日本との比較の視点のセットアップを行う。国内のフィールドワークについては継続して行い、地域創生のテーマとともに、環境配慮型、人権配慮型のSDGsへの取り組みについての官民連携の実務(その背景となる立法)の情報収集、分析を行う(岸田内閣の新しい資本主義に係る諸政策はこの問題に深く関わるものであり、政府の取り組みが加速している)。この年度においても、国内外の雑誌への投稿活動を目指し、また、これまで研究者が執筆した公共調達に係る文献の改訂版を、研究テーマを意識した形で行う作業を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
相次ぐ緊急事態宣言、蔓延防止措置等の影響で、海外出張はもとより国内出張も極めて厳しく制限されたことで、計画の一部が未了となった。具体的には、日南市におけるヒアリング(の一部)、平戸市、山形市において官民連携事業を展開している事業者へのヒアリング等である。諸規制が緩和された段階で未了の作業を実施する予定である。
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