研究課題
基盤研究(C)
国家機能の弱体化や国際法規範が実現しようとする内容の複雑化・専門化にともない、国家、個人、中間団体という責任主体の多元化が見られ、これにともなって国際法における包括的な責任論の構築が求められている。本研究では、武力紛争下における企業活動を素材として、それが国家責任および個人責任と重畳的に機能する「複合的な法適用過程」と階層の異なる責任主体が相互に他主体の義務履行を監督し、法実現の調整を行う「相互的な法調整過程」が存在することを実証した。
国際法
武力紛争下における企業活動の問題は、企業側のリスク管理の問題として議論される側面が強かった。しかし現実には、いかに適正に行われていたとしても、企業活動が武力紛争の動態に影響を与え、これによって著しい人権侵害に寄与する可能性があることが問題となってきている。本研究は、武力紛争下における企業活動を法的に規制する規範を特定し、その特徴を抽出し、具体的な規制を行うことに貢献するものであり、実務的な側面でも価値を持つ。