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2023 年度 実施状況報告書

違法労働の取り締まりに関する日独の法規制と労働者概念

研究課題

研究課題/領域番号 21K01183
研究機関学習院大学

研究代表者

橋本 陽子  学習院大学, 法学部, 教授 (00292805)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード労働者概念 / フリーランス / 労働契約 / EU法 / ドイツ法
研究実績の概要

2023年度は、フリーランスの保護のあり方について、2023年5月に制定されたフリーランス新法(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)の検討を行い、研究代表者がこれまでに行ってきた労働者概念に関する研究とあわせて新書(『労働法はフリーランスを守れるか―今後の雇用社会を考える―』ちくま新書、2024年)にまとめることができた。同書は、一般読者向けの新書ではあるが、このテーマに関する裁判例や外国法の最新の状況について解説したものであり、学術的な水準は決して低くないものである。このテーマに関する日本法の動向については、2023年9月14日にベルリンで開かれたシンポジウムにおいてドイツ語で報告を行った。
また、同書では、日本でほとんど知られていないドイツにおける「闇労働」の規制及び監督について紹介した。これは、本研究課題に直接関係するテーマであり、日本では、偽装自営業の問題が税法・社会保険法を潜脱するものであり、刑罰が科されるべき犯罪であるという認識はほとんどないが、国境を越えた労働移動の負の側面としてヨーロッパでは重要な課題となっていることを紹介することで、今後の日本における労働監督制度の在り方について問題提起を行った。
その他、最近のEUおよびドイツにおける労働法の展開について研究を進め、ドイツにおける労働時間法の改正の動きについて論文を執筆するとともに、ドイツ人研究者および実務家の複数の論文の翻訳を行った。また、2024年3月8日にミュンヘンで開かれたシンポジウムにおいて、日本の雇用差別禁止法についてドイツ語で報告を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究実績の概要」に記したとおり、これまで従事してきた労働者概念の研究を着実に進めることができ、またEUおよびドイツの労働法全般について、最新の動向を理解し、日本に紹介することができた。

今後の研究の推進方策

2024年度は、6月1-2日に開催される比較法学会において、2022年に共著『デジタルプラットフォームと労働法―労働者概念の生成と展開―』(東京大学出版会)を出版したが、その共著者とプラットフォーム就労の保護のあり方について報告を行う予定である。
また、まだ確定していないが、2024年9月半ばにローマで開催される国際労働法・社会保障法学会の世界会議において、韓国、中国および台湾の労働法研究者らと「東アジアのプラットフォーム労働」というテーマで報告できないかと応募している。
このように労働者概念について、引き続き研究を進める予定であるほか、EU法およびドイツ法の最新の動向についても引き続き検討を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

2025年9月にドイツとの国際シンポジウムを開催する予定であり、そのために多額の支出が見込まれることから、2023年度と2024年度は科研費を使用しないようにしているため。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (11件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 運送労働に係る労働時間規制の現状と課題-労基法37条の割増賃金の問題を中心として2024

    • 著者名/発表者名
      橋本陽子
    • 雑誌名

      日本労働研究雑誌

      巻: 764 ページ: 107-121

  • [雑誌論文] ロルフ・ヴァンク「日独における労働法の法源」2024

    • 著者名/発表者名
      橋本陽子(翻訳)
    • 雑誌名

      学習院大学法学会雑誌

      巻: 59巻2号 ページ: 73-94

  • [雑誌論文] 最近のドイツにおける労働自火報の展開について―労働時間把握義務と時間外労働に対する賃金請求権の問題を中心に―2023

    • 著者名/発表者名
      橋本陽子
    • 雑誌名

      武井寛・;矢野昌弘・緒方桂子・山川和義編『労働法の正義を求めて―和田肇先生古稀記念論集―』

      巻: - ページ: 441-460

  • [雑誌論文] ロルフ・ヴァンク「日本とドイツの労働法における法文化」2023

    • 著者名/発表者名
      橋本陽子(翻訳)
    • 雑誌名

      武井寛・矢野昌弘・緒方桂子・山川和義編『労働法の正義を求めて―和田肇先生古稀記念論集―』

      巻: - ページ: 192-215

  • [雑誌論文] グループホーム職員の夜勤時間帯の労働時間性と割増賃金請求権―社会福祉法人A事件・千葉地判令和5・6・9労経速2527号3頁―2023

    • 著者名/発表者名
      橋本陽子
    • 雑誌名

      ジュリスト

      巻: 1593 ページ: 4-5

  • [雑誌論文] 二重派遣(二重偽装請負)と労働者派遣法40条の6ー竹中工務店事件(大阪高判令和5・4・29)の検討と派遣から職業紹介への転換可能性についてー2023

    • 著者名/発表者名
      橋本陽子
    • 雑誌名

      労働法律旬報

      巻: 2040 ページ: 46-52

  • [雑誌論文] 定年後再雇用後の賃金と有期雇用を理由とする「不合理な格差」―名古屋自動車学校事件・最一小判令和5・7・20―2023

    • 著者名/発表者名
      橋本陽子
    • 雑誌名

      ジュリスト

      巻: 1589 ページ: 4-5

  • [雑誌論文] Entwicklungen des Gleichbehandlungsrechts zwischen Maennern und Frauen in Japan - insbesondere zur Bekaempfung von Lohnunterschieden2023

    • 著者名/発表者名
      Yoko Hashimoto
    • 雑誌名

      Duewell, Franz-Josef, Haase, Karsten (Hrsg.), Arbeit und Recht im gesellschaftlichen Wandel: 25 Jahre Gesellschaften fuer Arbeitsrecht in Deutschland und Japan

      巻: - ページ: 189-210

  • [雑誌論文] カーステン・ハーゼ「ドイツにおける在職中の労働者の継続職業訓練に対する助成(社会法典第3編82条)についてードイツにおける学び直し・リスキリングの法規制ー」2023

    • 著者名/発表者名
      橋本陽子(翻訳)
    • 雑誌名

      学習院大学法学会雑誌

      巻: 59巻1号 ページ: 99-142

  • [雑誌論文] トラック運転手の割増賃金に関する就業規則の規定の労基法37条適合性―熊本総合運輸事件・最二小判令和5・3・10―2023

    • 著者名/発表者名
      橋本陽子
    • 雑誌名

      労働法律旬報

      巻: 2033 ページ: 6-14

  • [雑誌論文] 労働に伴う経費の負担と賃金からの控除―住友生命事件・京都地判令和5・1・26労判1282号19頁―2023

    • 著者名/発表者名
      橋本陽子
    • 雑誌名

      ジュリスト

      巻: 1585 ページ: 4-5

  • [学会発表] Grundlegende Probleme des japanischen Gleichbehandlungsrechts2024

    • 著者名/発表者名
      Yoko Hashimoto
    • 学会等名
      Gemeinsame Tagung der Deutsch-Japanischen Gesellschaft fuer Arbeitsrecht e.V. und dem Lehrstuhl Prof. Dr. Martin Franzen der Ludwig-Maximilians- Universitaet Muenchen
    • 国際学会
  • [学会発表] Das neue Gesetz fuer Schutz von Solo-Selbstaendigen in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Yoko Hashimoto
    • 学会等名
      NEUESTE ENTWICKLUNGEN IM DEUTSCHEN,Gemeinsame Tagung der Deutsch-Japanischen Gesellschaft fuer Arbeitsrecht e.V. und der Bundesvereinigung der Deutschen Arbeitgeberverbaende e.V.
    • 国際学会
  • [図書] 労働法はフリーランスを守れるかーこれからの雇用社会を考えるー2024

    • 著者名/発表者名
      橋本陽子
    • 総ページ数
      266
    • 出版者
      筑摩書房
    • ISBN
      9784480076120

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公開日: 2024-12-25  

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