研究課題/領域番号 |
21K01189
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
生島 浩 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (80333996)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 司法・犯罪分野 / 更生保護 / 引受人会 / 家族支援 / 地域心理臨床 |
研究実績の概要 |
本年度前期は,研究専念期間でもあり,早稲田大学社会安全政策研究所及び龍谷大学矯正・保護総合センターの嘱託研究員の立場も活用して研究を遂行する予定であったが,コロナ禍のため研究会はリモート参加,日本更生保護学会での家族支援の研修会は,対面によるグループワーク形式が実施できず,開催できなかった。 しかしながら,従前の刑務所からの仮釈放に必須な引受人を確保するためとは異なる,「引受人(家族)会」を刑事司法・福祉・医療等との多職種多機関連携モデルにより構築する試みは,東京保護観察所立川支部との連携で厳格なコロナウイルス感染対策をとって,令和3年6月・10月・11月・12月・令和4年2月の計5回実施し,延べ21人の引受人,延べ33人の関係機関の専門職が参画した。 実地調査は,令和4年2月に水戸保護観察所及び茨城就業支援センター,同年3月に福岡保護観察所,山口市の更生保護施設たちばな会,美祢社会復帰促進センター,広島市の中国地方更生保護委員会を訪問し,処遇困難事例の家族支援,専門的処遇プログラム,さらには社会復帰のための環境調整について,事例検討を行った。 また,本年度が専任教員としての定年であり,20年間の大学院教育の成果を集積し,修了生等による『福島を起点とする地域心理臨床』(シーズ出版)と題する編著を刊行し,司法・犯罪分野のみならず,医療保健・教育・福祉・産業労働分野を包括した生活支援を中核とする「地域心理臨床」の理論と実際をまとめた。 加えて,日本更生保護学会の設立10周年を記念し,副会長として編集幹事を務めた『更生保護学事典』(成文堂)を刊行し,研究成果の社会への還元を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実践研究の中核である「引受人(家族)会」がコロナ禍のため計画の半分しか実施できなかった。家族支援の実際を示す「家族会」のデモンストレーションについても,リモート形式では極めて困難であり,日本更生保護学会や家族療法学会等関連学会の大会において実施できなかった。 また,実地調査においても入所者等へのインタビュー調査が対面式では能わず,質的調査の精度レベルの低下を回避することが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も,厳格なコロナウイルス感染対策をとって東京保護観察所立川支部との連携により,8~10回の「家族(引受人)会」の開催を計画している。そこには,支援対象者である家族のニーズに沿って,医療・福祉・心理等の専門職の参画を求め,多職種多機関連携の「生活支援としての地域心理臨床」を具現化させたい。 また,関係学会の大会においても,ハイブリッド形式による開催が増えてきており,積極的な成果報告(事例発表,研修会企画)に努めたい。
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