研究課題/領域番号 |
21K01205
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
城 祐一郎 昭和大学, 医学部, 教授 (20838792)
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研究分担者 |
小林 如乃 昭和大学, 医学部, 講師 (40828307)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 海外での実態調査 |
研究実績の概要 |
海外の安楽死・尊厳死の実情の調査として,研究代表者において,令和5年12月中に,ドイツ連邦のゲッティンゲン大学を訪問し,同大学の教授らと,ドイツにおける臨死の患者らに対する自殺幇助を合法化するかどうかの議論に参加し,多くの知見を得た。ドイツでは,伝統的に,自殺幇助罪を設けていなかったが,スイスに始まった自殺介助団体の活動等を規制するため,一定の要件を課した上で,幇助行為を違法とする刑法改正を行った。しかし,数年後,これが憲法裁判所で違憲とされたことで,刑法の同条項が無効となり,その後,新規立法を試みている段階で,訪独したのであるが,改正のための議論が,百家争鳴状態であって,その集約は容易ではなく,ドイツ国民の意思としても,臨死介助として,自殺幇助を容認するかどうかも意見が分かれていることなどが判明した。 また,国内の実態調査としては,当大学横浜市北部病院の緩和ケア病棟の西木戸医師らと連絡を取り合い,患者らに対する質問事項について,時間をかけて練り上げて完成させ,現在,昭和大学倫理委員会の承認待ちの状態である。これが承認されれば,速やかに,共同研究者小林准教授による臨死患者のインタビューが実施されることになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要の欄で説明したように,ドイツ連邦における臨死状態の患者への対応について,国民の意見も分かれており,法改正に当たっても,連邦議会では,賛否両論となる上,仮に,自殺幇助を認めるにしても,その要件について,様々な意見が出されていることに鑑みると,我が国において,臨死状態の患者らに対する安楽死・尊厳死についても,そのハードルを越えて立法化するには,国民への問題意識の浸透,学者,法律事務家,医療関係者ら様々な立場の者らの意見集約などを,より積極的に行う必要があることなどを深く認識することができ,その関係では,公表するに値する情報等を獲得することができるに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
訪独した際のドイツ連邦の法学者らとは,その後も連携が取れるようになっており,その後のドイツにおける立法の動きなどの情報を入手することができるので,本研究の期限までの間ではあるが,ドイツにおける立法の動きは把握できるようにしてある。 また,残された期間において,米国やオーストリアにおける安楽死・尊厳死立法についても,調査対象を広げて,更なる,知見の獲得に向けて努力する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症対策の余波で,海外渡航が容易ではない状態が続いていたことで,ドイツ連邦一か国した訪問することができなかったことや,国内でのインタビュー調査が同様の理由で実施できないままになっていることなどが理由となって,せっかくの予算を使うことができない状況下にあったから。
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