本研究の成果として、SNSを通じた情報拡散によって少年に生じる成長発達権侵害の重大性に鑑み、少年法68条の廃止を明確に提言したことは理論的にも社会的にも大きなインパクトがある。 また、本研究が、顕名での情報拡散の義務付け可能性について行った問題提起は、表現の自由と情報を拡散される者の人権をめぐる議論を格段に進展させる契機となり得るものである。さらに、時の経過を根拠に情報を消去することの権利性を確立していくことは、キャンセルカルチャーに対する対抗理論としても重要な意義を有しており、犯罪被害者保護と情報を拡散される者の社会復帰権の両立可能性についての議論の発展に寄与するものと考える。
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