研究課題/領域番号 |
21K01210
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
松宮 孝明 立命館大学, 法務研究科, 教授 (80199851)
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研究分担者 |
佐竹 宏章 青山学院大学, 法学部, 助教 (30844146)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 刑罰 / 処分 / 二元主義 / 認知行動療法 / 条件反射制御法 / クレプトマニア |
研究実績の概要 |
本研究は、刑事司法がコミットできる、薬物犯罪、窃盗罪や詐欺罪を対象とした病的ないし依存症的・条件反射的な財産犯罪行為者に対する「刑罰以外の」予防的な対処法を構想し、それと「刑罰」との兼ね合いを考えようとするものである。その方法は、とりわけ「刑罰」との「二元主義」に基づく「保安処分」発祥の地であるドイツ語圏の国々での「処分」の沿革研究とともに、欧米先進諸国での現状を調査し、認知行動療法や「条件反射制御法」を含む内外の専門家へのインタビューを交えた効果測定をしようとするものである。 2021年度は、新型コロナの影響で、国内外の調査出張は控えることとなった。他方、「刑罰」と「処分」に「二元主義」については文献中心の研究を進め、少しずつ成果を出している。たとえば論説(単著)「リストの犯罪体系と「二元主義」」『犯罪と刑罰』30号(成文堂、2021年3月)131-146頁、および「今日における刑罰の体系と刑罰論についての覚え書き」『刑事法学の系譜』内田文昭先生米寿記念(信山社、2022年1月)57-71頁で発表している。前者では、特別予防刑を唱えたドイツのフランツ・v・リストが「刑罰」と「処分」の「二元主義」を支持したのは、理論的に一貫したものではなく、立法との妥協であったこと、しかし、それを支えるには、「責任なき違法」を認める段階的な犯罪体系が適していたことを明らかにしている。後者では、今日の刑罰論は特別予防でも(威嚇的)一般予防でもなく、社会の安定化を志向する目的を持った応報刑論によるべきことと、そこからみた「自由刑の一本化」の在り方について検討してる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、新型コロナの影響で、国内外の調査出張は控えることとなったためである。他方、文献研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナの状況次第であるが、文献研究を可能な限り進め、同時に、状況下許す限りで、国内外の調査研究を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ流行のために、2021年度は国内外の調査を差し控えたため、30万円近い差額が生じた。2022年度以降は、新型コロナの状況をみて、可能な限りで国内外の調査研究を推進する予定であり、そのために、この使用差額も執行可能な見込みである。
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