研究実績の概要 |
本研究は、従来我が国において議論の手薄であった事業者間契約における不当条項規制の対象や基準の問題について知見を深めるため、事業者間契約における約款規制の規制緩和が盛んに論じられ、重要な立法課題の1つとなっているドイツ法の議論を調査・検討することを目的とする。このような研究目的のもと、2021年度においては、ドイツ語文献・資料の収集・整理および読解に取り組むことを計画した。 同実施計画に基づき、上記のテーマに関するドイツの主要文献の読解を行った。具体的には、Lars Leuschner, AGB-Recht im unternehmerischen Rechtsverkehr, 2021; Mittias Wendland, Vertragsfreiheit und Vertragsgerechtigkeit, 2019; Constantin Axer, Rechtfertigung und Reichweite der AGB-Kontrolle im unternehmerischen Geschaeftsverkehr, 2012; Tobias Miethaner, AGB-Kontrolle versus Individualvereinbarung, 2010(途中まで)といった諸文献である。 これらの文献を読み進めることにより、ドイツにおいて議論されているのは、単に事業者間契約における約款規制の法政策的なあり方ではなく、そもそも約款の内容規制が何故正当化されるのか、という基本問題であることが鮮明となった。そこでは、法と経済学に対する応接を伴いつつ、契約自由・契約正義・効用といった基本的な諸原理相互の関係や、約款による契約の締結過程における当事者行動のあり様が論じられている。本研究においても、これらの基本問題を意識していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要において述べたように、2021年度は、ドイツ法の文献を読み進める計画であった。この計画に則り、実際に、研究テーマに関する主要な文献を読み、それぞれのまとめを作成することができた。そして、本研究課題に関する基本的な文献を読破したことで、ドイツ法の状況の全容をある程度つかむことができた。 なお、確かに読破した文献の数は少数であるが、いずれも大部のものである。特に、Mittias Wendland, Vertragsfreiheit und Vertragsgerechtigkeit, 2019は、本文1000頁に迫る大著であり、また、内容も難解であるため、読解するのに時間を要した。このような文献を読み終えたことは、本研究の進捗にとって大きな意味を有する。
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